住宅ローンの返済と任意売却について、条文と公表資料で裏を取ったことだけを書いています。煽りません。
連載
住宅ローンの返済と任意売却を、条文にさかのぼって読む論考です。 手続の話だけでなく、制度が家族をどう扱っているかまで含めて扱います。 現在 100 本。
どれも4000字前後で、図を4枚以上入れています。 読み物として書いていますが、判断が要る場面では、今どこにいるか のほうが先に役に立ちます。
債権総論
代位弁済で債務が消えるわけではありません。請求する相手が入れ替わります。民法499条により弁済した者は債権者に代位し、501条1項によって担保として債権者が有していた一切の権利を行使できます。抵当権は順位のまま移り、売却条件の同意を得る相手も変わります。
#弁済による代位一部の入金は、費用、利息、元本の順に充てられるのが民法489条1項の原則です。元本は最後です。充当の順序に契約上の合意があれば、そちらが先に効きます(490条)。入れた額のぶんだけ滞納額が減るとは限らないのは、この順序があるためです。
#弁済の充当遅延損害金は利息ではなく、債務不履行による損害の賠償です。起点は確定期限の到来で、督促の有無を問いません。額は遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定まり、約定利率がこれを超えるときは約定利率によります。法定利率は年三パーセントを起点とする変動制です。
#遅延損害金民法474条1項は、債務の弁済は第三者もすることができると定めています。原則はできます。ただし正当な利益を有しない第三者は、債務者の意思にも債権者の意思にも縛られます。契約に禁止の定めがあれば、そもそも適用が外れます。そして払ったあと、請求する相手が家族に移ります。
#第三者弁済連帯保証と保証の違いは、債権者から請求されたときに言い返せることの有無です。連帯保証人は、まず本人に催告せよという抗弁と、先に本人の財産へ執行せよという抗弁を持たず(民法454条)、頭数で分ける利益もありません。保証債務の範囲自体は447条1項が定め、連帯かどうかで変わりません。
#連帯保証 #催告の抗弁民法は保証人へ情報を届ける規定を三つ置いています。ただし自動的に届くのは、期限の利益の喪失を二箇月以内に知らせる通知(458条の3)だけです。返済中の残額は保証人が請求して初めて届き(458条の2)、契約前の情報提供義務(465条の10)は事業のための債務に限られます。
#保証人民法147条から152条までは、時効の数え方が変わる場面を列挙しています。猶予は満了を後ろへずらし、更新は数えた期間を使えなくします。152条の承認は要式も分量も定めがない一方で更新を生じますが、何が承認にあたるかを条文は定義していません。
#時効の更新一括請求は、債務が増えることではありません。長い年数に割ってよいという時間の割り付けが失われることです。民法137条は喪失事由を三つ挙げますが、そこに滞納はありません。住宅ローンで一括請求が届く根拠は契約の条項にあり、条件は手元の書面に書いてあります。
#期限の利益 #一括請求個人が保証人になる根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じません(民法465条の2第2項)。その極度額は元本だけの上限ではなく、利息・違約金・損害賠償を含めた全部に係る上限です。定めは書面か電磁的記録によることも、同条3項が446条を準用して求めています。
#根保証 #極度額払う意思があり現金もあるのに、渡す先がない。民法494条は、債権者が受領を拒んだとき、受領できないとき、そして債権者を確知できないときに、供託所へ預ける道を置いています。供託した時に債権は消滅します。ただし取り戻せば、その効果はなかったものとして扱われます。
#弁済の供託求償権は、保証会社が代位弁済によって新しく取得する固有の権利です。額は、支出した財産の額と消滅した主たる債務の額の低いほうが天井になり、これに法定利息と避けられなかった費用が加わります。担保の付いた原債権も代位で移りますが、その行使は求償できる範囲に限られます。
#求償権 #代位弁済民法424条1項は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを、裁判所に請求することができると定めています。取消しは通知や話し合いでは生じません。訴えの被告は名義を受けた側であり、426条は二年と十年という期間を置いています。本稿は要件の組み立てだけを読みます。
#詐害行為取消権債権譲渡で動くのは請求の相手方であって、債務の額や利率ではありません。民法467条1項は、通知をするのは譲渡人だと定めています。468条1項により、対抗要件が備わるまでに生じた事由は譲受人にも対抗できます。抵当権が債権とともに移ることについては、実は明文がありません。
#債権譲渡民法は債務の引受けを二つに分けています。引受人が加わる併存的債務引受(470条)と、債務者が入れ替わる免責的債務引受(472条)です。どちらの経路でも債権者の関与が要件に置かれており、債務者と引受人の合意だけでは、債務者は債務を免れません。
#債務引受民法166条1項は、知った時から5年と行使できる時から10年という二つの数え方を並べています。ただし期間の経過だけでは足りず、援用という一段階が要ります(145条)。抵当権は債務者と設定者に対しては被担保債権と同時でなければ時効消滅しません(396条)。
#消滅時効預金は手元の現金ではなく、銀行に対して持っている債権です。同じ銀行から借入があると、互いに債権を持ち合う状態になります。民法505条1項は、双方の債務が弁済期にあるときに対当額で相殺できると定めます。相殺は一方の意思表示によってする行為で、相手に求めて実現するものではありません。
#相殺担保物権
民法304条は、賃貸によって債務者が受けるべき金銭に対しても権利を行使することができると書いています。当然にそうなるとは書いていません。372条の準用と、304条ただし書の差押え、そして民事執行法193条の手続を順に読みます。
#物上代位物上保証人は、他人の債務のために自分の不動産を担保に差し出した人です。民法369条1項は、担保に供する者を債務者に限っていません。ですから請求書は届きません。それでも家は競売にかかりえます。失ったときは、民法372条が準用する351条により、債務者への求償権が生じます。
#物上保証人 #求償権抵当権は不動産に付いた権利なので、所有者が変わっても登記に残ります。債務者から譲り受けた人を、民法は第三取得者と呼びます。この人は債務を負いませんが、競売になれば所有権を失います。民法は代価弁済(378条)と抵当権消滅請求(379条)という二つの出口を置いています。
#第三取得者 #抵当権消滅請求民法388条は、土地と建物が同一の所有者に属する場合に、その一方または両方に設定された抵当権の実行で所有者が分かれたとき、建物について地上権が設定されたものとみなします。地代は当事者の請求により裁判所が定めます。名義が親子で分かれていると、この文言に当てはまりません。
#法定地上権更地に抵当権が設定されたあとに建った建物には、法定地上権が生じません。民法389条1項は抵当権者が土地とともにその建物を競売できると定めますが、但書により優先権は土地の代価にしか及びません。建物を担保に取り込む制度ではないということです。
#一括競売同じ債権のために複数の不動産に抵当権があると、共同抵当になります。民法392条は、代価を同時に配当するときは各不動産の価額で負担を按分し、一方だけを配当するときは抵当権者が全部の弁済を受けられるかわりに、次順位者が他方へ代位できるとしています。
#共同抵当建物の賃貸借は、登記がなくても引渡しで対抗力を備えます(借地借家法31条)。抵当権の登記より前に引渡しを受けていれば、売却後も住み続けられます。対抗できない場合は、民法395条1項が買受けの時から六箇月の猶予を置きます。ただし使用の対価を払わなければ、2項でこの猶予は外れます。
#明渡猶予 #賃借人根抵当権は、一定の範囲の不特定の債権を極度額の限度で担保します。元本の確定前は中身が入れ替わり、代位弁済があっても根抵当権は移りません。その状態が終わる区切りが元本の確定です。請求による道と、法定の事由による道が条文に置かれています。
#根抵当権極度額は、いま負っている債務の額ではなく、優先弁済を受けられる上限です。根抵当権では元本も利息も遅延損害金も、極度額を限度として全部が対象になります。普通の抵当権が利息を最後の二年分に限るのとは、区切り方が異なります。
#極度額抵当権の対抗要件は登記、建物賃借権の対抗要件は引渡しです。比べられるのはこの二つの時点で、契約書の日付ではありません。先なら賃貸人の地位が買受人に移り、後なら効力を失います。建物には六箇月の引渡猶予が置かれています。
#対抗要件抵当権が付いたままでも、売ること自体は法律上できます。売れないのは、抵当権が残る限り買主が家を失うおそれを負うからです。抹消登記は所有者だけでは申請できません。抵当権者が申請人に加わるため、債権者が同意しなければ同時決済は組めません。
#抵当権抹消抵当権の順位は、契約の日でも金額の大小でもなく、登記の前後で決まります(民法373条)。優先を主張できる利息と遅延損害金は最後の二年分まで(375条)。そして代金が上位で尽きれば、下位の抵当権者には配当が届きません。
#抵当権の順位抵当権が及ぶ範囲を決めているのは、登記簿の記載ではありません。民法370条は、抵当不動産に付加して一体となっている物に及ぶと定め、二つの場合を但書で外しました。371条は、果実に及ぶ時期を不履行の後と区切っています。条文の線を引き直します。
#抵当権抵当権消滅請求ができるのは抵当不動産の第三取得者です。民法380条は、主たる債務者・保証人・これらの者の承継人を明文で外しています。返済に詰まったご本人が自分の家の抵当権を外す制度ではありません。三つの書面と二箇月の区切りを条文から読みます。
#抵当権消滅請求民事執行
売却決定期日は、執行裁判所が売却の許可または不許可を言い渡す期日です(民事執行法69条)。この期日は開札より前、売却実施の処分と同時に指定されています。期日での意見も執行抗告も、理由は71条各号などに限られます。所有者が変わるのは代金を納付した時です。
#売却許可決定物件明細書の記載事項は三つです(民事執行法62条1項)。書かれるのは、売却によっても効力を失わないものだけ。何が消えて何が残るかは59条が定めており、振り分けの基準は「対抗できるか」にあります。写しは一般の閲覧に供されます。
#物件明細書民事執行法79条は、買受人は代金を納付した時に不動産を取得すると定めています。登記の時でも決定の時でもありません。納付の期限を決めるのは裁判所書記官です。この一日を境に、登記の嘱託と配当が動きだします。ただし抵当権が消えても、債務そのものは残ります。
#代金の納付現況調査は、執行裁判所が執行官に命ずる調査です。対象は不動産の形状、占有関係、その他の現況。売る対象の形を確定させ、買受けを検討する人が読む資料の土台をつくる作業です。民事執行法57条は、執行官の権限とその限定を同じ条の中に書いています。
#現況調査売却代金は、まず執行費用に、次いで登記の順に担保権者へ充てられます。剰余金が債務者に交付されるのは、各債権者の債権と執行費用の全部を弁済できる場合に限られます。足りなければ、担保のない債権が残ります。家がなくなることと、債務がなくなることは別の出来事です。
#配当配当要求の終期は、売却代金を分ける相手を区切るための日付です。物件明細書の作成までの期間を考慮して裁判所書記官が定め、開始決定とあわせて公告されます。債務者が何かをする期日ではありませんが、ここから売却までの順序が動きはじめます。
#配当要求民事執行法83条は、明け渡す日を定めていません。定めているのは、買受人が引渡命令を申し立てられる期間の上限と、審尋の要否と、確定するまで効力が生じないことです。2項の「六月」は、住んでいてよい期間ではなく、買受人の申立て期間の上限です。実際の時期は事案によります。
#引渡命令評価をするのは評価人、価額を定めるのは執行裁判所です。買受けの申出は、売却基準価額から十分の二を控除した買受可能価額以上でなければなりません(民事執行法60条3項)。条文から取り出せる数字はここまでで、落札額は別の話です。
#売却基準価額民事執行法84条2項は、剰余金を債務者に交付すると定めています。ただし条件があります。債権者が一人であるか、売却代金で各債権者の債権と執行費用の全部を弁済できる場合です。債権の額には附帯の債権が含まれ、順位の並びは抵当権だけではありません。
#剰余金 #配当開始決定は、売却してよいかを審査した結論ではなく、手続を始めるという宣言です。その中で差押えが宣言されます。差押えの効力は送達か登記の先に来たほうで生じますが、民事執行法46条2項は、通常の用法に従った使用と収益を妨げないと定めています。
#開始決定民事執行法の条文に「期間入札」という語はありません。売却の方法は入札または競り売りのほか最高裁判所規則で定めるとされ(64条2項)、保証も額と方法を執行裁判所に委ねています(66条)。いくら要るかは、条文ではなく公告と裁判所の案内に書かれています。
#期間入札買受可能価額が手続費用と優先債権の見込額に届かないとき、執行裁判所は差押債権者に通知し、一週間以内に申出と保証がなければ手続を取り消さなければなりません(63条)。ただし取消しは手続の終わりであって、債務も抵当権も残ります。
#無剰余取消し民事執行法68条は「債務者は、買受けの申出をすることができない」とだけ定めます。例外も但書もなく、担保不動産競売にも準用されます。一方で親族については条文に定めがなく、71条3号の「計算において」に当たるかが問題になり得ます。当社は結論を述べません。
#買受けの申出民事執行法10条1項は、執行抗告を「特別の定めがある場合に限り」認めます。それ以外は執行異議が受けます(11条1項)。期間は告知の日から一週間の不変期間です。同じ法律には、債権者の側から申し立てる売却のための保全処分も置かれています(55条・187条)。
#執行抗告 #保全処分担保不動産競売は、担保権の登記がされた不動産についての申立てで開始します。判決は要りません。開始決定、現況調査、評価、売却、代金納付、配当という骨格の大半は、民事執行法188条が強制競売の規定を準用して動いています。
#担保不動産競売民事執行法76条1項は、買受けの申出があった後の取下げについてだけ同意という条件を置いています。それ以前について条文は定めを置いていません。任意売却の締切が「入札が始まる前まで」と語られるのは、この書き分けが理由です。取り下げるかどうかは債権者が決めます。
#取下げ #任意売却家族と家
民法762条1項は、婚姻前から有する財産と婚姻中に自己の名で得た財産を特有財産としています。夫婦の財産は原則として別のものです。2項の共有の推定は、いずれに属するか明らかでない場合の受け皿にすぎません。名義は、誰が返済の義務を負うかとは別に決まります。
#夫婦別産制民法877条は直系血族および兄弟姉妹に扶養の義務を定めています。ただしその義務は親族に対するもので、親の債権者に対する弁済の義務としては書かれていません。扶養の中身も条文になく、協議か家庭裁判所に委ねられます。子が返済を負う経路は、保証と相続という別の系統にあります。
#扶養義務民法922条は、相続によって得た財産の限度でのみ債務を弁済すべきことを留保して承認する道を置いています。ただし923条は、相続人が数人あるときは共同相続人の全員が共同してのみできると定めます。924条は三箇月の期間内に目録を作り家庭裁判所へ申述することを求めます。
#限定承認配偶者居住権の対抗要件は登記です。民法1031条2項が605条を準用しています。したがって抵当権の登記が先にされていれば、その抵当権者に配偶者居住権を対抗することはできません。競売で売却されたとき、対抗できない権利の取得は効力を失うと定められています(民事執行法59条2項)。
#配偶者居住権民法1046条1項が請求の対象として書いているのは、遺留分侵害額に相当する金銭です。不動産の持分ではありません。算定の基礎からは債務の全額が控除され(1043条1項)、家を継いだ側には金銭の債務が生じます。払えない場面のために、1047条5項は裁判所による支払の期限の許与を定めています。
#遺留分遺産分割で「家も債務も長男が」と決めても、債権者に対して当然に効くとは民法は書いていません。902条の2は、相続分の指定があっても債権者は法定相続分に応じて請求できるとし、909条ただし書は分割の遡及効が第三者の権利を害することはできないとしています。承認するかどうかを決めるのは債権者です。
#遺産分割民法は、婚姻費用・養育費と住宅ローンの返済との間に一般的な優劣を置いていません。優劣に近いものが条文に現れるのは強制執行の場面です。民事執行法152条3項は差押禁止の割合を4分の3から2分の1へ読み替え、151条の2は確定期限が到来していない分の執行開始を認めています。
#扶養義務民法は共有物についての行為を三つに分けています。保存行為は単独でできる(252条5項)。管理は持分の価格の過半数で決する(同条1項)。変更には他の共有者の同意が要る(251条1項)。頭数の多数決ではありません。そして家の全部を売るには、共有者の全員が売主として関わります。
#共有民事執行法43条2項は、共有持分を不動産とみなします。だから持分だけを対象に競売の手続が進みます。ただし効力が及ぶのはその持分にとどまり、他の共有者の持分には届きません。他方、持分が売却されれば買受人が共有者となり、家の使われ方が変わる局面が開きます。
#共有持分民法256条1項は、各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができると定めます。ただし協議が調わないときに裁判所が命じられるのは、現物分割・賠償分割、そしてそれらができないときの競売です(258条2項・3項)。請求できることと、望む形になることは別です。
#共有物分割親権を行う者は、子の財産に関する法律行為について子を代表します(民法824条)。ただし利益が相反する行為については、特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません(同826条1項)。この手続は調停の対象から除かれており、売却とは別の時間で進みます。
#特別代理人配偶者が返済の義務を負う経路は二つあります。契約に署名した場合と、民法761条の日常家事債務に当たる場合です。前者は書面で確かめられます。後者は「日常の家事」という定義のない語にかかっており、住宅ローンが含まれるかを条文は答えていません。
#日常家事債務連帯債務では、債権者は二人のうち一人に対しても債務の全部の履行を請求できます(民法436条)。負担部分は原則として内側の話です。当事者の間で「一方が払う」と取り決めても、債権者に対する債務者を入れ替えるには、民法472条2項または3項の経路をたどることになります。
#連帯債務所有者に判断能力がないとき、家族が代わりに売買契約を結ぶことはできません。民法は後見開始の審判を経た成年後見人に代表権を与え(859条1項)、さらに居住用の建物とその敷地の処分については家庭裁判所の許可を求めています(859条の3)。手続は二段構えです。
#成年後見親族に買ってもらう話も、民法555条の売買です。対価を置かなければ贈与になります。価格には二つの目印があり、媒介業者は価額の根拠を示す義務を負い、著しく低い対価は差額が贈与とみなされます。そして債権者が抵当権の抹消に同意し、買う側に資金の裏づけがあって初めて動きます。
#親族間売買収入合算には、合算した側が借主になる型と、保証人になる型があります。連帯保証型では、民法454条により催告の抗弁と検索の抗弁を持ちません。他方で458条の2は、請求すれば債権者から履行状況の情報を得られる道を置いています。所有と保証は別の仕組みです。
#連帯保証民法915条1項は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月という期間を定めます。938条は家庭裁判所への申述という形式を、939条は初めから相続人とならなかったものとみなす効果を定めます。そして940条1項により、現に占有している財産の保存義務は残ります。
#相続の放棄民法896条は一切の権利義務の承継を定め、898条は相続財産を共有とします。他方899条は、各共同相続人が相続分に応じて権利義務を承継すると書いています。家は分ける手続を要し、債務はその手続を待ちません。家の中で決めた分け方が、外の債権者にどこまで届くのかを条文から読みます。
#相続と債務親から住宅資金の援助を受けて家を建てた。その援助は、相続の場面で相続分の計算に戻されることがあります。民法903条の持戻し、904条の評価時点の固定、904条の2の寄与分。いずれも分け方の計算であって、家が売れるかどうかを決める規定ではありません。
#特別受益民法768条は財産分与の請求権を定め、協議が調わないときの家庭裁判所への請求を離婚から五年に限っています。ただし債務をどう扱うかについての文言は同条にありません。当事者間の取決めは債権者を拘束せず、抵当権は離婚によって動きません。
#財産分与契約と登記
報酬の上限は、業者と依頼者の力関係ではなく、国土交通大臣の告示で決まっています。宅地建物取引業法46条がそう定めているからです。上限は上限であって請求額ではなく、実際の額は媒介契約を結ぶときに、上限の範囲内で合意します。
#媒介契約所得税法64条2項は、それ自体で税を軽くする規定ではありません。保証債務の履行と求償権の行使不能という事情を、同条1項でいう回収不能の金額とみなし、1項の「なかつたものとみなす」へ運ぶ橋です。3項は申告書への記載と書類の添付を条件にしています。
#所得税法64条2項 #保証債務印紙税の納税義務者は課税文書の作成者(印紙税法3条)、登録免許税は登記等を受ける者(登録免許税法3条)、消費税の対象は事業者が行った資産の譲渡等(消費税法4条1項)。誰が国に納めるかは条文が決めており、当事者間の負担の取り決めとは別の話です。
#印紙税 #登録免許税 #消費税譲渡所得は、売った代金そのものではありません。総収入金額から取得費と譲渡費用を引いた残りが出発点です(所得税法33条3項)。残りが出た場合にも、所得税法9条1項10号の非課税の枠と、租税特別措置法35条の特別控除が置かれています。当てはまるかは税務署または税理士へ。
#譲渡所得 #税重要事項説明は、物件を取得しようとする人に向けて契約成立までに行われます(宅建業法35条1項)。1項1号は「登記された権利の種類及び内容」と書くだけで、抵当権の語を使っていません。売主は説明を受ける側ではなく、情報を出す側です。
#重要事項説明民法の買戻しは、売買と同時にした特約により、代金と契約の費用を返還して売買を解除する制度です。期間は10年が上限で、あとから伸長できません(580条)。第三者に対しては登記が足場になります(581条1項)。再売買の予約はこれとは別の合意で、条文の枠がありません。
#買戻し #再売買の予約契約不適合責任の基準は、家が古いかどうかではなく、契約の内容と現物が合っているかどうかです。民法572条は担保責任を負わない旨の特約を前提にしつつ、知りながら告げなかった事実については責任を残しました。免責の条項を厚く書くことより、知っている事実を書き出すことが効きます。
#契約不適合責任契約した日と鍵を渡す日は同じではありません。任意売却では債権者の承認や抵当権抹消の段取りが挟まり、その空白が長くなることがあります。民法は危険が移る時点を引渡しに置きました。引渡しの前と後で、代金の支払を拒めるかどうかが入れ替わります。
#危険負担差押えの登記は、所有権が移ったことの記録ではありません。不動産登記法3条にいう「処分の制限」の登記です。民事執行法46条2項は、差押えが通常の用法に従った使用収益を妨げないと明記しています。登記の前後が効いてくるのは、配当を受ける債権者の範囲のほうです。
#差押え #不動産登記登記識別情報は、登記名義人本人が申請していることを確かめる符号です(不動産登記法2条14号)。権利そのものではありません。共同申請では登記義務者である売主の側から提供され(22条)、提供できないときの手順も条文に置かれています。
#登記識別情報抹消登記の登記義務者は抵当権者です(不動産登記法2条13号・60条)。登記識別情報も抵当権者の側から出ます(22条)。前提は債権者が抹消に応じることで、応じるかどうかは債権者が決めます。申請の代理は司法書士の業務です。
#抹消登記手付による解除と、債務不履行による解除は別の制度です。前者は理由が要らず、相手方が履行に着手する前までで、損害賠償の請求が残りません。後者は相手の不履行と催告を要件とし、損害賠償が別に残ります。どちらの話をしているかで、読むべき条文が変わります。
#手付倒産と再建
破産法65条1項は「別除権は、破産手続によらないで、行使することができる」と定めます。家に設定された抵当権は手続の外側にあり、行使して回収できなかった額だけが破産債権の側に回ります(108条1項)。
#別除権破産法34条3項1号は、破産財団に属しない金銭を、民事執行法131条3号に規定する額に2分の3を乗じた額と定めます。同令が定める額は66万円です。4項は裁判所が範囲を拡張できるとし、その期間と考慮する事情を条文に書いています。
#自由財産 #破産法34条破産法253条1項は、免責許可の決定が確定したときは破産者が破産債権について責任を免れると定めます。同条2項は、その決定が保証人に対する債権者の権利に影響を及ぼさないと定めます。免責は保証人には及びません。
#保証生活困窮者住居確保給付金が賄うのは家賃相当額であり、住宅ローンの返済ではありません。要件と額と期間は法律本文になく、施行規則に置かれています。ただし条文は住宅の所有権を失った者を対象に含めており、接続する場所は売却の後にあります。
#住居確保給付金住宅資金特別条項は、民事再生法196条の定義に当たる債権について、198条が定めることができる場合を限り、199条が変更の内容を型ごとに定める仕組みです。199条2項2号には十年・七十歳という数字が置かれています。
#住宅資金特別条項破産手続開始の決定があると、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は破産管財人に専属します(破産法78条1項)。不動産の任意売却には裁判所の許可が要り(同条2項1号)、担保権を消すには186条以下の別の手続が置かれています。
#破産管財人破産法253条1項本文の文言は「破産債権について、その責任を免れる」です。但書が租税等・罰金等・債権者名簿に記載しなかった請求権などを外し、2項は保証人その他共に債務を負担する者と、破産者以外の者が供した担保に影響を及ぼさないと定めます。
#免責再生計画は、案の作成(民事再生法154条・156条)、決議に付する決定(169条1項)、可決(172条の3)、認可(174条)という段を経て決まります。可決には頭数の過半数と議決権の額の二分の一以上の双方が要ります。
#再生計画生活保護法14条が住宅扶助の範囲として挙げるのは、住居と、補修その他住宅の維持のために必要なものの二つです。住宅ローンの返済はここに書かれていません。額は法律本文になく、厚生労働大臣の告示の別表第三が基準額を定め、これを超えるときは地域ごとの特別基準に委ねられます。
#住宅扶助加盟する会社が共同で見る名簿が置かれているわけではありません。割賦販売法が加入業者に提供を義務づけた項目が機関に集められ、使い道は支払能力調査に限られています。保有期間は各機関が公表しており、いずれも上限として書かれています。
#信用情報社会と地域
空き家900万2千戸のうち、賃貸用が443万6千戸を占めます。空家法の「空家等」は、使用されていないことが常態である建築物という別の定義です。二つの数え方は目的が違うため、そのまま重ねることができません。
#空き家 #民事執行公示価格は、一年に一度、ある一日の時点について、自由な取引を仮定して判定された価格です(地価公示法2条)。建物や使用収益を制限する権利は、存しないものとして考えます。期限のある売却は、この仮定のどれとも一致しません。
#地価公示袋井市に市街化調整区域はありません。中遠広域都市計画では区域区分が定められていないためです。代わりに効くのは用途地域の内外、地区計画の有無、立地適正化計画の誘導区域との関係です。
#都市計画法 #袋井市「家を失う」という語は法令にありません。条文にあるのは所有権、抵当権、附合、差押え、代金の納付です。物としての家と住まいとしての家は別の系統に置かれ、所有権が移るより先に、いつ誰とどの順で決めるかという位置が外へ移ります。連載の小括です。
#所有権 #小括市街化区域か市街化調整区域かは、登記記録には書かれていません。磐田市は市街化調整区域が市の面積の約8割を占めると公表しています。売却で先に確かめるのは価格ではなく、その土地でどの建築が認められるかです。
#都市計画法 #磐田市公表資料ごとに「住宅ローン」の切り分け方は違います。日本銀行の欄は住宅と消費を合算し、金融庁の分析は債務者区分の移動でデフォルトを測ります。数字の意味は、その定義まで戻らないと決まりません。
#住宅ローン #統計退職後も返済が残っている世帯は、統計上は少数です。負債保有世帯の割合は60〜69歳で26.5%、70歳以上で10.4%。周りに同じ立場の人が見当たらないのは分布のためで、落ち度の証しではありません。年金には別の条文が用意されています。
#高齢期の返済農地の売買は、合意があっても許可がなければ権利が動きません。農地法3条6項が、許可を受けないでした行為は効力を生じないと定めているためです。森町には市街化区域がなく、届出で足りる特例も働きません。
#農地法 #森町民法419条3項は、金銭債務について不可抗力を抗弁とすることを認めていません。災害があっても返済の約束は動かないため、契約の外側に枠組みが置かれました。それが自然災害債務整理ガイドラインですが、法令ではなく、債権者の同意を前提とする私的整理の準則です。
#自然災害 #債務整理世帯の形はこの四十年で変わりました。単独世帯は18.2%から35.4%へ、平均世帯人員は3.22人から2.17人へ。他方で住宅ローンの契約は当事者を契約時のまま保ちます。持分には分割請求の条文があり、債務にはそれがありません。
#連帯債務司法統計年報は、不動産の競売を民事執行法の条文どおりに分類して数えています。令和6年の全地方裁判所で、担保権の実行としての競売等の新受は11,860件でした。ただし、既済に含まれる取下げ2,151件について、その理由は記録されていません。
#民事執行 #統計単独世帯は一般世帯の38.1%を占め、世帯類型のなかで最も多くなりました。一方で民法は、保証契約に書面を求め、個人根保証には極度額の定めを求めています。保証人を立てられないことを個人の事情としてではなく、制度の側の設計として読み直します。
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