袋井市に市街化調整区域はないのですか。
ありません。静岡県が定める中遠広域都市計画の都市計画区域の整備、開発及び保全の方針は、区域区分の決定の有無について「本都市計画に区域区分を定めない。」と書いています。同じ資料は、この区域が袋井市及び森町の1市1町で構成されていることも記しています。都市計画法7条1項が区域区分を任意の制度としているため、定めない都市計画区域が存在します。磐田市とは前提が異なります。
要旨
袋井市に市街化調整区域はありません。中遠広域都市計画では区域区分が定められていないためです。代わりに効くのは用途地域の内外、地区計画の有無、立地適正化計画の誘導区域との関係です。
キーワード社会と地域/都市計画法/袋井市
袋井市の土地について相談を受けるとき、最初に確かめることがあります。袋井市に市街化調整区域はありません。隣の磐田市には市街化区域と市街化調整区域の区分があるため、同じ感覚で袋井市の土地を考えると、話の組み立てから狂います。売主の側にも、買主の側にも、この取り違えは起こります。
本稿は、袋井市を含む都市計画区域に区域区分が置かれていないという事実を公表資料で確かめ、では線引きの代わりに何が土地の使い方を決めているのかを、都市計画法の条文にさかのぼって整理します。区域区分がないことは、規制がないことを意味しません。効いている条文が別のところにある、というだけです1。
静岡県が定める中遠広域都市計画の都市計画区域の整備、開発及び保全の方針は、区域区分の決定の有無について「本都市計画に区域区分を定めない。」と書いています。同じ資料は、本区域が「袋井市及び森町の1市1町で構成されている」とも書いています。袋井市の土地は、この区域の中にあります。
定めないとした根拠も併記されています。区域の人口は緩やかな増加傾向にあるが区域全体の市街化圧力が高いとはいえないこと。広域交通体系が確立され、現行の用途地域内で市街地開発事業や工業地の整備が計画的に実施されていることから、低密度な市街地が形成される可能性は低いこと。市街地周辺部の平坦地はそのほとんどが農業振興地域における農用地区域に指定され、土地利用に対する規制が図られていること。丘陵地が現行の市街地に近接しており、都市的土地利用の拡大には地形上の制約があること。以上から区域区分制度の導入は行わない、という書き方です。
注目したいのは、抑制の役割を別の制度が担っているという説明の立て方です。農用地区域があり、地形の制約があるから、線を引かなくても市街地は散らばりにくい。裏返せば、袋井市で土地の使い方を確かめるときには、都市計画法の中だけを見ていては足りないことになります。
同じ資料は、地区ごとの方針も書き分けています。袋井市北部の上山梨地区や東部の上石野地区などについては、地区計画制度の適正な運用により良好な戸建て住宅を中心とした住宅地を配置するとし、田原地区や岡崎地区などの集落地域については、地区計画制度を活用して自然環境と調和した土地利用を図るとしています。線を一本引いて内と外を分けるのではなく、地区ごとに描いていく組み立てだと読めます。この読み方は、売却の準備で調べる範囲にそのまま影響します。
都市計画法は、区域区分を義務づけていません。7条1項は、必要があるときは区域区分を定めることが「できる」と書き、ただし書で一定の都市計画区域についてだけ定めるものとしています。中遠広域都市計画区域は、そのただし書に当たらない区域です。
では区域区分のない都市計画区域で何が働くのか。中心にあるのは地域地区です。
都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる地域、地区又は街区を定めることができる。
一 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域……近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域(以下「用途地域」と総称する。)
二の二 特定用途制限地域
1号の用途地域が、建築物の用途と規模の枠を決めます。そして2号の2の特定用途制限地域は、用途地域が定められていない土地の区域について、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を都市計画に定める仕組みです(同条3項2号ニ)。線を引く代わりに、地域地区で描き分ける組み立てになっています。
もうひとつが地区計画等です。12条の4第1項は、都市計画区域について地区計画等を定めることができるとし、同条2項は種類・名称・位置・区域を都市計画に定めるものとしています。袋井市は、市内の地区計画を一覧で公表し、該当地区内で一定の行為をする場合は着手の30日前までに届出が要ると案内しています2。
開発行為の許可も見ておきます。29条1項1号は、市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域、準都市計画区域内で行う開発行為のうち、政令で定める規模未満のものを許可の対象から外しています。非線引きの都市計画区域は、この点で市街化区域と同じ側に置かれています。市街化調整区域を抱える市町のように、開発行為が原則として許可の対象になる、という構造にはなっていません。
以上を踏まえると、袋井市の土地で調べる順序は磐田市とは変わります。第一に用途地域の内か外か。第二に地区計画の区域に入っているか。第三に立地適正化計画の誘導区域との関係です。袋井市は、都市再生特別措置法にもとづく立地適正化計画で居住誘導区域と都市機能誘導区域を設定しており、誘導区域外で開発行為や建築行為を行う際に市への届出が必要となる場合があると案内しています。
ここで気をつけたいのは、区域区分がないことを「制限が緩い」と読み替えないことです。用途地域の外に地区計画が定められていれば、そこには固有の制限があります。届出を要する行為に着手すれば、日程が動きます。期限のある売却では、この確認を売り出しの前に済ませておくかどうかが、そのまま日数の差になります。市町ごとの論点は対応エリアに、段階ごとの残り時間の性質は今どこにいるかに整理しました。
注
参考文献
この記事のよくある質問
ありません。静岡県が定める中遠広域都市計画の都市計画区域の整備、開発及び保全の方針は、区域区分の決定の有無について「本都市計画に区域区分を定めない。」と書いています。同じ資料は、この区域が袋井市及び森町の1市1町で構成されていることも記しています。都市計画法7条1項が区域区分を任意の制度としているため、定めない都市計画区域が存在します。磐田市とは前提が異なります。
緩いかどうかを一般化することはできません。区域区分がない都市計画区域でも、都市計画法8条の用途地域や特定用途制限地域、12条の4の地区計画等が定められます。袋井市は市内の地区計画を一覧で公表し、該当地区内で一定の行為をする場合は着手の30日前までの届出を案内しています。効いている条文の場所が違う、という理解のほうが実際に近いと考えています。
当社が可否を判定することはしていません。条文の枠組みとして言えるのは、区域区分が定められていない都市計画区域では、都市計画法29条1項1号により政令で定める規模未満の開発行為が許可の対象から外れていること、そのうえで地区計画や特定用途制限地域が定められていればその制限が働くこと、そして建築基準法上の道路との関係が別に問題になることです。個別の判断は市の窓口にあります。
袋井市は都市再生特別措置法にもとづく立地適正化計画を策定し、居住誘導区域と都市機能誘導区域を設定しています。市は、誘導区域外で開発行為や建築行為を行う際に市への届出が必要となる場合があると案内しています。届出が要るかどうかは日程に関わるため、売り出す前に確かめる項目のひとつになります。誘導区域の内外が価格を決めるという意味ではありません。
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富士ヶ丘サービス株式会社/宅地建物取引士 大石浩之(静岡県知事 第027186号)。 記事の内容は執筆時点の法令・公表資料にもとづきます。 個別の事案の見通しを示すものではありません。