信用情報には、どれくらいの期間残りますか。
機関ごとに区分と書き方が異なります。シー・アイ・シーは申込情報を照査日より6ヶ月間、クレジット情報を契約期間中および契約終了後5年以内と公表しています。日本信用情報機構は、2019年10月1日以降の契約について契約内容と返済状況をいずれも契約終了後5年以内としています。全国銀行個人信用情報センターは取引情報を契約終了日から5年を超えない期間、官報情報を決定日から7年を超えない期間としています。いずれも上限としての記載です。
要旨
加盟する会社が共同で見る名簿が置かれているわけではありません。割賦販売法が加入業者に提供を義務づけた項目が機関に集められ、使い道は支払能力調査に限られています。保有期間は各機関が公表しており、いずれも上限として書かれています。
キーワード倒産と再建/信用情報
相談の場でいちばん多く出る問いは、金額の話ではありません。「信用情報はどうなりますか」です。返済が滞っている自覚がある方ほど、この一点を先に確かめようとされます。そして、この分野には根拠の示されない年数と、不安をあおる書き方とが出回っています。
本稿は、条文と各機関の公表資料だけを材料に、何が登録され、どれだけの期間残ると書かれているのかを確かめます1。先に書いておくと、加盟する会社が共同で見る名簿がどこかに置かれているわけではありません。法律が提供を義務づけた項目が機関に集められ、その使い道が法律で限られている、という仕組みです。
日本で個人の信用情報を扱う機関は三つあります。株式会社シー・アイ・シー、株式会社日本信用情報機構、そして一般社団法人全国銀行協会が設置・運営する全国銀行個人信用情報センターです。前二者は割賦販売法にいう指定信用情報機関であり、後者は銀行の取引情報を扱う機関として別に置かれています2。
登録の入口は、条文に書かれています。割賦販売法35条の3の56第2項は、加入業者が包括信用購入あつせん関係受領契約または個別信用購入あつせん関係受領契約を締結したときは、遅滞なく、当該契約に係る基礎特定信用情報を加入指定信用情報機関に提供しなければならないと定めます。3項は、提供した情報に変更があったときも、遅滞なく変更内容を提供しなければならないとしています。
その基礎特定信用情報とは何か。同条1項が四つの号で列挙しています。
一 当該購入者又は当該役務の提供を受ける者の氏名及び住所その他の当該購入者又は当該役務の提供を受ける者を識別することができる事項として経済産業省令で定めるもの
二 契約年月日
三 支払時期の到来していない又は支払の義務が履行されていない包括信用購入あつせん又は個別信用購入あつせんに係る債務の額
四 前三号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項
並びを見てください。氏名と住所、契約年月日、そして債務の額。「遅れた」という評価が送られるのではなく、契約と残額という事実が送られる書き方になっています。第三号が「支払時期の到来していない」ものと「支払の義務が履行されていない」ものを同じ号に置いていることも、この点を裏づけます。まだ払う時期が来ていない残りも、すでに滞っている分も、条文の上では同じ「債務の額」です。第四号だけが省令に開かれており、ここに何が入るかは条文の側からは読めません。
同意についても定めがあります。35条の3の57第2項は、加入業者が契約を締結しようとする場合には、あらかじめ、情報を機関に提供すること、機関がそれを他の加入業者に提供すること、他の機関の加入業者に提供することの三つについて、書面または電磁的方法により同意を得なければならないとしています。契約の入口で、この同意はすでに取られています。3項は、その同意に関する記録を作成し、保存することを求めています。
ここで、冒頭に書いた「名簿」の語について補っておきます。割賦販売法にも名簿という語は出てきます。ただし35条の3の48が公衆の縦覧に供させているのは、加入業者の名簿です。どの会社がその機関に加入しているかの一覧であって、消費者の一覧ではありません。条文が公開を命じている名簿は、この向きのものだけです。
登録されることよりも、読者にとって意味があるのは使い道の限定のほうです。条文をそのまま読みます。
加入包括信用購入あつせん業者若しくは加入個別信用購入あつせん業者又はこれらの役員若しくは職員は、支払能力調査以外の目的のために加入指定信用情報機関に特定信用情報の提供の依頼(当該利用者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者に係る他の指定信用情報機関が保有する基礎特定信用情報の提供の依頼を含む。)をし、又は加入指定信用情報機関から提供を受けた特定信用情報を支払能力調査以外の目的に使用し、若しくは第三者に提供してはならない。
支払能力調査以外の目的では、依頼することも、使うことも、第三者に提供することもできません。同条2項は、加入業者でなくなった後についても使用と提供を禁じています。つまり、この情報は支払能力を調べるという一つの用途のためだけに置かれているということです。就職や賃貸の審査に回るような性質のものとしては規定されていません。
この禁止には罰則が付いています。50条は、35条の3の59第1項または2項に違反した者を、二年以下の拘禁刑もしくは三百万円以下の罰金に処し、またはこれを併科すると定めます。同条はさらに、情を知ってその違反行為をした者から特定信用情報の提供を受けた者も同様とする、としています。受け取った側にも罰則が及ぶ書き方です。
機関の側にも義務が置かれています。35条の3の46は、指定信用情報機関に対し、加入業者が提供を受けた特定信用情報を支払能力調査以外の目的で使用しないよう、必要かつ適切な監督を行わなければならないと定めます。35条の3の45は、特定信用情報提供等業務に関する記録を作成し保存することを求めます。使い道の限定は、加入業者への禁止と、機関への監督義務と、記録の保存という三重の書き方で支えられています3。
どの機関に加入しているかも隠されていません。35条の3の58は、加入業者が加入指定信用情報機関の商号または名称を公表しなければならないと定めます。自分の契約の相手方がどの機関に情報を送っているかは、その会社の公表を見れば分かる仕組みです。また35条の3の47第1項は、他の指定信用情報機関から基礎特定信用情報の提供の依頼を受けたときは、正当な理由がある場合などを除き、これに応じなければならないとしています。機関どうしが行き来する経路も、条文の上に置かれています。
ここから先は条文ではなく、各機関が自ら公表している内容です。年数は機関ごとに書き方が違うので、順に並べます。
シー・アイ・シーは、申込情報を「照査日より6ヶ月間」、クレジット情報を「契約期間中および契約終了後5年以内」、利用記録を「利用日より6ヶ月間」と公表しています。クレジット情報のうち支払状況の項目には、残債額や入金履歴とならんで「異動(延滞・保証履行・破産)の有無、異動発生日、延滞解消日」が挙げられています。本人申告情報は「登録日より5年以内」です。
日本信用情報機構は、2019年10月1日以降の契約について、契約内容に関する情報と返済状況に関する情報をいずれも「契約終了後5年以内」としています。ただし延滞解消の情報は1年以内。債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡等の取引事実に関する情報も契約終了後5年以内で、債権譲渡のみ1年以内です。申込みに関する情報は「照会日から6か月以内」とされています。
全国銀行個人信用情報センターは、取引情報を「契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間」としています。照会記録情報は本人開示の対象が1年、会員への提供が6か月。官報情報は「当該決定日から7年を超えない期間」で、これが三機関の中でもっとも長い年数です。本人申告情報と貸付自粛情報はいずれも5年を超えない期間とされています。
三機関に共通しているのは、いずれも「以内」または「超えない期間」という書き方をしている点です。公表されている年数は上限として書かれており、その期間を満了することを約束するものではありません。逆に言えば、いつ消えるかを言い当てられる材料も、公表資料の中にはありません。
そして、どの機関の資料にも書かれていないことがあります。どの状態であれば借入れができるのか、という基準です。審査の基準は各社が定めるもので、機関が公表しているのは登録される項目と保有期間までです。ここを埋めて語る文章に出会ったら、出典を確かめる値打ちがあります。用語の整理は用語集に置きました。
本人にできることは、条文にあります。個人情報の保護に関する法律33条1項は、本人が個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データについて、電磁的記録の提供による方法その他の個人情報保護委員会規則で定める方法による開示を請求することができると定めます。事業者は、請求を受けたときは本人が請求した方法により遅滞なく開示しなければなりません(同条2項本文)。その方法による開示に多額の費用を要する場合などは、書面の交付による方法とされます。三つの機関は、いずれも本人開示の手続を公表しています。
手続そのものも、条文が公表を求めています。32条1項3号は、開示等の請求に応じる手続について、手数料の額を定めたときはその額を含めて、本人の知り得る状態に置かなければならないとします。38条1項は、利用目的の通知や開示の請求について手数料を徴収することができるとし、2項でその額を実費を勘案して合理的と認められる範囲内で定めるべきものとしています。手数料が取られうることも、その額の目安の立て方も、条文の側に書かれています。
開示された内容が事実でないときの道も、条文の上にあります。
本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの内容が事実でないときは、当該保有個人データの内容の訂正、追加又は削除(以下この条において「訂正等」という。)を請求することができる。
3 個人情報取扱事業者は、第一項の規定による請求に係る保有個人データの内容の全部若しくは一部について訂正等を行ったとき、又は訂正等を行わない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨(訂正等を行ったときは、その内容を含む。)を通知しなければならない。
1項が請求できる場面を「内容が事実でないとき」に限っていることに注意してください。記載が不利であることや、消えるのが遅いことは、この条文の要件ではありません。2項は、他の法令に特別の手続が定められている場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲内で遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づいて訂正等を行わなければならないとします。そして3項が、行ったときも行わない旨を決めたときも、本人への通知を求めています。結論が出ないまま放置される形は、条文の側では想定されていません。
訂正等を行わない旨の通知を受けたとき、36条は、事業者にその理由を説明するよう努めなければならないと定めます。努力義務であって、義務ではありません。さらに争う場合について、39条1項は、開示・訂正等・利用停止等の請求に係る訴えを提起しようとするときは、あらかじめその請求を行い、到達した日から二週間を経過した後でなければ訴えを提起することができないとしています(相手方が請求を拒んだときを除く)。手前に置かれた二週間が、条文に書かれた唯一の期間です4。ご自身がどの段階にいるかは今どこにいるかで確かめられます。
注
参考文献
この記事のよくある質問
機関ごとに区分と書き方が異なります。シー・アイ・シーは申込情報を照査日より6ヶ月間、クレジット情報を契約期間中および契約終了後5年以内と公表しています。日本信用情報機構は、2019年10月1日以降の契約について契約内容と返済状況をいずれも契約終了後5年以内としています。全国銀行個人信用情報センターは取引情報を契約終了日から5年を超えない期間、官報情報を決定日から7年を超えない期間としています。いずれも上限としての記載です。
加盟する会社が共同で見る名簿が別に置かれているわけではありません。割賦販売法35条の3の56第2項は、加入業者が契約を締結したときに、契約年月日や債務の額といった基礎特定信用情報を指定信用情報機関に提供しなければならないと定めています。送られるのは評価ではなく、契約と残額という事実です。同法35条の3の59第1項は、その使い道を支払能力調査に限っています。
個人情報の保護に関する法律33条1項は、本人が個人情報取扱事業者に対し、自分が識別される保有個人データの開示を請求することができると定めています。三つの機関は、いずれも本人開示の手続を自ら公表しています。開示された記載が事実でないときは、同法34条1項が訂正、追加または削除の請求を認めています。手続の詳細と手数料は各機関のページでご確認ください。
当社はそのように申し上げません。割賦販売法が定める提供の対象は契約と残額に関する事実であり、売却の方法とは別の事柄だからです。また、すでに生じている支払の状況を売却によって遡って変えることはできません。信用情報の内容を当社が照会することもできませんので、登録の有無や時期についてのお尋ねは、各機関への開示請求でお確かめください。
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