返済ノート

信用情報に何が、どれだけ残るのか|割賦販売法と三機関の公表資料で確かめる

要旨

加盟する会社が共同で見る名簿が置かれているわけではありません。割賦販売法が加入業者に提供を義務づけた項目が機関に集められ、使い道は支払能力調査に限られています。保有期間は各機関が公表しており、いずれも上限として書かれています。

キーワード倒産と再建/信用情報

相談の場でいちばん多く出る問いは、金額の話ではありません。「信用情報はどうなりますか」です。返済が滞っている自覚がある方ほど、この一点を先に確かめようとされます。そして、この分野には根拠の示されない年数と、不安をあおる書き方とが出回っています。

本稿は、条文と各機関の公表資料だけを材料に、何が登録され、どれだけの期間残ると書かれているのかを確かめます1。先に書いておくと、加盟する会社が共同で見る名簿がどこかに置かれているわけではありません。法律が提供を義務づけた項目が機関に集められ、その使い道が法律で限られている、という仕組みです。

購入者 契約の相手方 加入業者 クレジット会社 指定信用情報機関 情報を保有する 契約の締結 情報の提供 本人への開示
図1 情報が動く向き。出典:割賦販売法35条の3の56第2項、個人情報の保護に関する法律33条1項。金融機関の取引情報を扱う機関はこの図に含めていない。

1. 信用情報という言葉が指しているもの

日本で個人の信用情報を扱う機関は三つあります。株式会社シー・アイ・シー、株式会社日本信用情報機構、そして一般社団法人全国銀行協会が設置・運営する全国銀行個人信用情報センターです。前二者は割賦販売法にいう指定信用情報機関であり、後者は銀行の取引情報を扱う機関として別に置かれています2

登録の入口は、条文に書かれています。割賦販売法35条の3の56第2項は、加入業者が包括信用購入あつせん関係受領契約または個別信用購入あつせん関係受領契約を締結したときは、遅滞なく、当該契約に係る基礎特定信用情報を加入指定信用情報機関に提供しなければならないと定めます。3項は、提供した情報に変更があったときも、遅滞なく変更内容を提供しなければならないとしています。

提供される項目も同条1項各号にあります。購入者を識別することができる事項、契約年月日、支払時期の到来していない、または支払の義務が履行されていない債務の額、そして経済産業省令で定める事項。「遅れた」という評価が送られるのではなく、契約と残額という事実が送られる書き方になっています。

同意についても定めがあります。35条の3の57第2項は、加入業者が契約を締結しようとする場合には、あらかじめ、情報を機関に提供すること、機関がそれを他の加入業者に提供すること、他の機関の加入業者に提供することの三つについて、書面または電磁的方法により同意を得なければならないとしています。契約の入口で、この同意はすでに取られています。

2. 割賦販売法が定めている、使い道の限定

登録されることよりも、読者にとって意味があるのは使い道の限定のほうです。条文をそのまま読みます。

割賦販売法35条の3の59第1項(目的外使用等の禁止)

加入包括信用購入あつせん業者若しくは加入個別信用購入あつせん業者又はこれらの役員若しくは職員は、支払能力調査以外の目的のために加入指定信用情報機関に特定信用情報の提供の依頼(当該利用者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者に係る他の指定信用情報機関が保有する基礎特定信用情報の提供の依頼を含む。)をし、又は加入指定信用情報機関から提供を受けた特定信用情報を支払能力調査以外の目的に使用し、若しくは第三者に提供してはならない。

支払能力調査以外の目的では、依頼することも、使うことも、第三者に提供することもできません。同条2項は、加入業者でなくなった後についても使用と提供を禁じています。つまり、この情報は支払能力を調べるという一つの用途のためだけに置かれているということです。就職や賃貸の審査に回るような性質のものとしては規定されていません。

どの機関に加入しているかも隠されていません。35条の3の58は、加入業者が加入指定信用情報機関の商号または名称を公表しなければならないと定めます。自分の契約の相手方がどの機関に情報を送っているかは、その会社の公表を見れば分かる仕組みです。

公表されているもの 各機関の公表資料 登録される項目 保有期間の上限 開示請求の手続 公表されていないもの どこにも書かれていない 各社の審査の基準 借入れの可否 回復までの見通し
図2 確かめられることと、確かめられないこと。出典:シー・アイ・シー、日本信用情報機構、全国銀行協会の各公表資料。右側は「存在しない」という意味ではなく、公表されていないという意味である。

3. 三つの機関が公表している保有期間

ここから先は条文ではなく、各機関が自ら公表している内容です。年数は機関ごとに書き方が違うので、順に並べます。

シー・アイ・シーは、申込情報を「照査日より6ヶ月間」、クレジット情報を「契約期間中および契約終了後5年以内」、利用記録を「利用日より6ヶ月間」と公表しています。クレジット情報のうち支払状況の項目には、残債額や入金履歴とならんで「異動(延滞・保証履行・破産)の有無、異動発生日、延滞解消日」が挙げられています。本人申告情報は「登録日より5年以内」です。

日本信用情報機構は、2019年10月1日以降の契約について、契約内容に関する情報と返済状況に関する情報をいずれも「契約終了後5年以内」としています。ただし延滞解消の情報は1年以内。債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡等の取引事実に関する情報も契約終了後5年以内で、債権譲渡のみ1年以内です。申込みに関する情報は「照会日から6か月以内」とされています。

全国銀行個人信用情報センターは、取引情報を「契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間」としています。照会記録情報は本人開示の対象が1年、会員への提供が6か月。官報情報は「当該決定日から7年を超えない期間」で、これが三機関の中でもっとも長い年数です。本人申告情報と貸付自粛情報はいずれも5年を超えない期間とされています。

6か月 5年 7年 申込・照会の記録 契約終了後 官報情報(全銀協) 短い 長い
図3 公表されている年数の長短。出典:シー・アイ・シー、日本信用情報機構、全国銀行協会の各公表資料。機関ごとに区分の立て方が異なるため、同じ目盛りの上で厳密に比較できるものではない。

三機関に共通しているのは、いずれも「以内」または「超えない期間」という書き方をしている点です。公表されている年数は上限として書かれており、その期間を満了することを約束するものではありません。逆に言えば、いつ消えるかを言い当てられる材料も、公表資料の中にはありません。

そして、どの機関の資料にも書かれていないことがあります。どの状態であれば借入れができるのか、という基準です。審査の基準は各社が定めるもので、機関が公表しているのは登録される項目と保有期間までです。ここを埋めて語る文章に出会ったら、出典を確かめる値打ちがあります。用語の整理は用語集に置きました。

開示を請求する 個人情報保護法33条 記載を確かめる 各機関の開示手続 事実でないとき 同法34条1項 はじめ あと
図4 本人にできることの順序。出典:個人情報の保護に関する法律33条1項・34条1項。訂正等が認められるかどうかを示す図ではない。

本人にできることは、条文にあります。個人情報の保護に関する法律33条1項は、本人が個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの開示を請求することができると定めます。事業者は、請求を受けたときは遅滞なく開示しなければなりません(同条2項本文)。三つの機関は、いずれも本人開示の手続を公表しています。

開示された内容が事実でないときは、34条1項が訂正、追加または削除の請求を認めています。事業者は、他の法令に特別の手続が定められている場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲内で遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づいて訂正等を行わなければなりません(同条2項)。事実と違う記載を正す道は、条文の上に置かれています3。ご自身がどの段階にいるかは今どこにいるかで確かめられます。

  • 送られるのは契約と残額という事実
  • 使い道は支払能力調査に限られる
  • 本人は開示を請求できる(33条1項)
先に申し上げること 当社は信用情報の内容を照会できません。加入業者ではないからです。登録された内容を消すことも、いつ消えるかを申し上げることもできません。開示の請求は、ご本人が各機関に対して行うものです。また、任意売却をすれば登録が避けられるという趣旨のことを、当社は申し上げません。売却の方法と、すでに生じている支払の状況とは、別の事柄だからです4
小括 割賦販売法は、加入業者に対して契約と残額に関する情報を指定信用情報機関に提供する義務を課し(35条の3の56第2項)、その使い道を支払能力調査に限っています(35条の3の59第1項)。三つの機関が公表している保有期間は、申込・照会の記録が6か月、契約終了後が5年、全国銀行個人信用情報センターの官報情報が7年で、いずれも「以内」「超えない期間」という上限の書き方です。本稿は公表されている範囲を写したにとどまり、審査の可否や回復の見通しを示すものではありません。ほかの手の並びは任意売却以外の選択肢を、当社の役割と限界は私たちの立場をご覧ください。

  1. 本稿が引く年数は、各機関が自ら公表している資料の記載である。取得日は参考文献に付した最終閲覧日のとおり。公表内容は改定されることがあるため、判断の材料にされる際は各機関の当該ページで現在の記載を確かめていただきたい。
  2. 割賦販売法35条の3の56以下は、包括信用購入あつせんおよび個別信用購入あつせんに係る規定である。全国銀行個人信用情報センターは一般社団法人全国銀行協会が設置・運営する機関であり、同法の指定信用情報機関の枠組みとは別に置かれている。本稿が条文を引くのは前二者についてである。
  3. 個人情報の保護に関する法律33条2項ただし書は、本人または第三者の権利利益を害するおそれがある場合など三つの場合に、全部または一部を開示しないことができるとしている。開示の請求が常に全部の開示に至るとは限らない。
  4. 弁護士法72条は、報酬を得る目的で法律事件に関して法律事務を取り扱うことを弁護士でない者に禁じている。当社は宅地建物取引業者として売買の媒介と売却条件の調整を行い、法律の判断を要する事項は提携する弁護士・司法書士におつなぎしている。

参考文献

一次情報:https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000159

信用情報には、どれくらいの期間残りますか。

機関ごとに区分と書き方が異なります。シー・アイ・シーは申込情報を照査日より6ヶ月間、クレジット情報を契約期間中および契約終了後5年以内と公表しています。日本信用情報機構は、2019年10月1日以降の契約について契約内容と返済状況をいずれも契約終了後5年以内としています。全国銀行個人信用情報センターは取引情報を契約終了日から5年を超えない期間、官報情報を決定日から7年を超えない期間としています。いずれも上限としての記載です。

どこかに名簿のようなものが作られるのですか。

加盟する会社が共同で見る名簿が別に置かれているわけではありません。割賦販売法35条の3の56第2項は、加入業者が契約を締結したときに、契約年月日や債務の額といった基礎特定信用情報を指定信用情報機関に提供しなければならないと定めています。送られるのは評価ではなく、契約と残額という事実です。同法35条の3の59第1項は、その使い道を支払能力調査に限っています。

自分の登録内容を確かめる方法はありますか。

個人情報の保護に関する法律33条1項は、本人が個人情報取扱事業者に対し、自分が識別される保有個人データの開示を請求することができると定めています。三つの機関は、いずれも本人開示の手続を自ら公表しています。開示された記載が事実でないときは、同法34条1項が訂正、追加または削除の請求を認めています。手続の詳細と手数料は各機関のページでご確認ください。

任意売却にすれば、信用情報への登録を避けられますか。

当社はそのように申し上げません。割賦販売法が定める提供の対象は契約と残額に関する事実であり、売却の方法とは別の事柄だからです。また、すでに生じている支払の状況を売却によって遡って変えることはできません。信用情報の内容を当社が照会することもできませんので、登録の有無や時期についてのお尋ねは、各機関への開示請求でお確かめください。

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富士ヶ丘サービス株式会社/宅地建物取引士 大石浩之(静岡県知事 第027186号)。 記事の内容は執筆時点の法令・公表資料にもとづきます。 個別の事案の見通しを示すものではありません。

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