返済ノート

保証人を立てられないとき——単身世帯化と、保証を前提に組まれた制度

要旨

単独世帯は一般世帯の38.1%を占め、世帯類型のなかで最も多くなりました。一方で民法は、保証契約に書面を求め、個人根保証には極度額の定めを求めています。保証人を立てられないことを個人の事情としてではなく、制度の側の設計として読み直します。

キーワード社会と地域/保証人/単身世帯

賃貸住宅の申込書には、たいてい保証人の欄があります。任意売却の相談で、売ったあとの住まいに話が移ると、この欄で手が止まる方がいます。頼める相手が思い当たらない。あるいは思い当たるけれども、事情を話したくない。返済が滞っていることを親や兄弟にまだ伝えていない方は、少なくありません。

この場面を、人づきあいの問題として書くつもりはありません。保証人を立てられないという状態は、頼れる人がいるかどうかという個人の事情である以上に、制度の側が保証人の存在を前提に組まれていることの裏返しです。世帯の形は数十年かけて変わりました。保証を求める側の仕組みは、その変化の速さでは動いていません。ずれが生じているのは、申込書の前に立つ人の側ではなく、申込書の側です。

本稿は、順に三つのことを見ます。まず、世帯の統計が何を示していて、何を示していないか。次に、民法が保証をどう組み立て、どこに「保証人を立てられない場合」を書いているか。最後に、住まいを借りる場面でその前提がどう扱われ、どこに対応物が置かれていないかです。

一般世帯(2020年) 単独 38.1% 夫婦と子 25.1% 夫婦のみ ほか 最も多い類型 出典:国勢調査 ※ 割合は一般世帯に占めるもの。
図1 世帯の家族類型の内訳。出典:総務省統計局「令和2年国勢調査 人口等基本集計結果」。帯は割合を示すもので、世帯数の増減や地域差を表すものではない。

1. 単独世帯が、最も多い世帯類型になった

総務省統計局の令和2年国勢調査によれば、一般世帯のうち世帯人員が1人の世帯、すなわち単独世帯は2115万1千世帯で、一般世帯の38.1%を占めます。夫婦と子供から成る世帯は1394万9千世帯で25.1%、夫婦のみの世帯は1115万9千世帯で20.1%、ひとり親と子供から成る世帯は500万3千世帯で9.0%です。単独世帯は世帯類型のなかで最も多く、2015年と比べて14.8%増えました。一般世帯に占める割合は、34.6%から38.1%へ上がっています1

高齢の側でも同じ方向に動いています。65歳以上の世帯員がいる一般世帯は2265万5千世帯で、一般世帯の40.7%を占めます。その内訳では、夫婦のみの世帯が684万8千世帯(30.2%)、単独世帯が671万7千世帯(29.6%)です。見る角度を変えて、65歳以上の人口のうち単独世帯の人員を数えると671万7千人で、65歳以上人口の19.0%にあたります。男女別では男性が15.0%、女性が22.1%です2。国土交通省住宅局が令和6年9月に公表した資料は、2030年には単身高齢者世帯が約900万世帯に迫る見通しであると記しています。

男性 割合が最も高い階級 25〜34歳 28.8% 65歳以上では15.0% 2020年10月1日現在 女性 割合が最も高い階級 75〜84歳 26.0% 65歳以上では22.1% 2020年10月1日現在
図2 単独世帯の割合が高い年齢階級。出典:総務省統計局「令和2年国勢調査 人口等基本集計結果」。分母の異なる二種類の割合を並べたもので、どちらの層が困っているかを示す図ではない。

あわせて、この統計が答えていないことも書いておきます。国勢調査が数えているのは、同じ住居に住んで生計をともにしている人の数です。世帯の外側にいる親族に何をどこまで頼めるかは、この調査の対象ではありません。一人暮らしの方に頼れる親族がいないとは書かれていませんし、二人以上の世帯の方に頼める相手がいるとも書かれていません。保証人を頼める相手がいる人の割合を示した公表資料を、当社は把握していません。ここを推計で埋めることはしません。世帯の統計から言えるのは、保証人を立てられない場面が、稀な例外として設計に組み込まれる規模ではなくなったという一点までです。

2. 民法が保証契約に置いた要件と、立てられない場合の条文

保証とは何か。民法は次のように定めています。

民法446条(保証人の責任等)

保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。

2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

1項が定めているのは、保証人が負うのが主たる債務者の履行しないときの責任だということです。2項は形式の要求です。保証契約は、書面でしなければ効力を生じません。口頭の約束は保証契約になりません。引き受ける側が事の重さを取り違えたまま義務を負うことのないよう、民法は形式を課しました3

背負う中身についても条文があります。保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含します(447条1項)。他方で、保証人の負担が目的または態様において主たる債務より重いときは主たる債務の限度に減縮され、保証契約の締結後に主たる債務が加重されても保証人の負担は加重されません(448条1項・2項)。保証人が背負う範囲は、主たる債務に連動して決まり、そこから独りでに膨らむことはないという組み立てです。

賃貸住宅の保証には、もう一段の規定が重なります。賃借人が負う債務は、毎月の賃料だけではありません。原状回復や損害賠償など、契約が続くあいだに生じる不特定のものを含みます。こうした債務を主たる債務とする保証契約は根保証にあたり、保証人が法人でないときは個人根保証契約になります。

民法465条の2(個人根保証契約の保証人の責任等)

一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。

2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。

2項に注意してください。極度額を定めなければ、その保証契約は効力を生じません。いくらまで背負うのかを、契約の時点で数字にして書いておくということです。この規定は、際限のない責任から個人の保証人を守るために置かれています。

保証の一般則 民法446条 書面でなければ無効 履行しないときに負う 従たるものを含む(447条) 個人根保証 民法465条の2 極度額の定めが要る 定めがなければ無効 賃貸借の保証もここに入る
図3 保証の成立に民法が課している要件。出典:民法446条2項・447条1項・465条の2第1項2項。個別の契約が個人根保証に当たるかどうかを判定する図ではない。

この三つの語の関係も、条文の並びのとおりに整理できます。保証があり、そのうち不特定の債務を主たる債務とするものが根保証であり、そのうち保証人が法人でないものが個人根保証です。賃貸住宅で親族が引き受ける保証は、いちばん内側の箱に入ります。内側に入るほど、成立に必要な条件が増えていきます。

保証(民法446条) 根保証 個人根保証(465条の2) 賃貸住宅で個人が引き受ける保証はここに入る
図4 概念の包含関係。出典:民法446条・465条の2第1項。箱の大きさは件数や重要度を表すものではない。

個人根保証には、もうひとつ、時間に関わる規定が置かれています。個人根保証契約における主たる債務の元本は、一定の場合に確定します。確定するとは、その時点までに生じた債務に範囲が締め切られるということです。挙げられている事由は三つで、そのうち第三号が主たる債務者または保証人が死亡したときです(465条の4第1項3号)。

1 保証人の財産に強制執行等の申立てがあったとき 2 保証人が破産手続開始の決定を受けたとき 3 主たる債務者又は保証人が死亡したとき 出典:民法465条の4第1項
図5 個人根保証の元本が確定する場合。出典:民法465条の4第1項各号。第一号には強制執行等の手続の開始があったときに限る旨の但書があり、この図は要件の全文を示すものではない。

では、立てられないときはどうなるのか。民法には、その言葉が置かれた条文があります。

民法450条(保証人の要件)・451条(他の担保の供与)

第四百五十条 債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。

一 行為能力者であること。
二 弁済をする資力を有すること。

第四百五十一条 債務者は、前条第一項各号に掲げる要件を具備する保証人を立てることができないときは、他の担保を供してこれに代えることができる。

451条は「保証人を立てることができないとき」と正面から書いています。そして代わりに置くものを、人ではなく「他の担保」としました。物や金銭で代えてよい、という書き方です。ただし、この二か条が働くのは、450条が言うとおり「債務者が保証人を立てる義務を負う場合」に限られます4。賃貸借の申込みで保証人を求められるのは法律上の義務ではなく、契約の側の要求です。したがって、451条を持ち出して他の担保に代えることを当然に求められる場面ではありません。

さらに、賃貸借の保証では連帯保証とされていることがあります。保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、まず主たる債務者に催告せよと求める権利(452条)も、主たる債務者の財産から先に執行せよと求める権利(453条)も、保証人は持ちません(454条)。同じ「保証人」という欄でも、連帯の文字があるかどうかで、断れる範囲が変わります。

3. 住まいを借りる場面で、その前提はどう扱われているか

実務では、個人の保証人に代えて家賃債務保証業者を使う形が広がりました。賃借人が保証を委託し、業者が賃貸人に対して債務を保証する。関係の組み方は、住宅ローンの保証会社と似ています。人による担保という点は変わらず、その人が親族から法人に替わった形です。

入居希望者 単身の借主 賃貸人 貸主・管理会社 家賃債務保証 個人の保証人に代わる 賃料の支払 保証の委託 求償
図6 家賃債務保証が置かれる位置。出典:国土交通省住宅局「住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律等について」。矢印は関係の向きを示すもので、審査の可否や金額を表すものではない。

ただし、これで話が終わらないことを公表資料が示しています。国土交通省の令和3年度の調査では、住宅確保要配慮者の入居について、高齢者に対しては約7割の賃貸人が拒否感を持つとされています。入居制限を行う理由のうち最も該当するものを選ばせた結果では、高齢者の場合、「居室内での死亡事故等に対する不安」が90.9%を占めました。同じ問いで「家賃の支払いに対する不安」は1.3%です5

この不安が向いている先には、条文の側にも空白があります。借地借家法は、賃借人が亡くなった後のことを一か条だけ置いています。居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、婚姻または縁組の届出をしていないが事実上夫婦または養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者が賃借人の権利義務を承継する、というものです(36条1項)。この条文が働くには、同居者がいることが要ります。相続人がいる場合は、賃借権も債務も相続の一般の規定によって相続人に承継されます(民法896条)。一人で暮らし、相続人もなく、同居者もいない場合について、借地借家法36条は答えを置いていません。

住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律は、令和7年10月1日に施行されました。国土交通省の説明資料によれば、この改正では、要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者を国土交通大臣が認定する仕組みが設けられ、その認定基準には緊急連絡先を親族などの個人に限定しないことが挙げられています。あわせて、都道府県が指定する居住支援法人が、登録住宅の入居者への家賃債務保証、住宅相談や情報提供、見守りなどの生活支援を行うものとされています。言葉の整理は用語集に置きました。

保証人を頼めない 家賃債務保証 認定の仕組みが置かれた 居住支援法人 相談・見守りなど どちらも地域にあるとは限らない
図7 個人の保証人によらない二つの経路。出典:住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律(令和7年10月1日施行)、国土交通省住宅局の説明資料。利用できるかどうかを示す図ではない。

制度の側も、保証人を前提にしない形を探しているということです。ただし、認定を受けた保証業者や居住支援法人が身近にどれだけあるかは地域により異なります。探しはじめる場所としては、市区町村の住宅を担当する窓口と、都道府県が公表している居住支援法人の一覧があります。売却の段取りと住まい探しの時期は、重ねるとどちらも急ぐことになります。当社が扱う地域の事情は対応エリアに、売ったあとの住まいについては売ったあとのことに書きました。

  • 単独世帯は一般世帯の38.1%(2020年)
  • 保証には書面と極度額が要る(446条2項・465条の2第2項)
  • 保証人の死亡で元本は確定する(465条の4第1項3号)
  • 断られる理由は支払能力とは別のところにもある
先に申し上げること 当社は売買の媒介を行う宅地建物取引業者です。家賃債務保証の審査に通るかどうかや、居住支援法人の支援を受けられるかどうかを、当社が判定する立場にはありません。保証契約の効力や極度額の定めの解釈についての判断も、弁護士・司法書士の領域です。当社にできるのは、窓口の所在を一緒に確かめ、売却の段取りと住まいを探す時期が食い違わないように並べることまでです6
小括 単独世帯は一般世帯の38.1%を占め、世帯類型のなかで最も多くなりました。1世帯当たり人員は2.21人まで下がっています。他方で民法は、保証契約に書面を求め、個人根保証には極度額の定めを求め、保証人の死亡を元本の確定事由に挙げています。保証人を立てられない場合を想定した条文(451条)が用意した代替は、人ではなく他の担保でした。制度の側は家賃債務保証や居住支援法人という経路を置いていますが、賃貸人の側の不安は支払能力とは別のところにも置かれており、借地借家法36条もその空白を埋めていません。本稿は仕組みの所在と、公表資料が答えていない範囲を示したにとどまり、どの窓口が使えるかを判定するものではありません。当社の役割と限界は私たちの立場に書いています。

  1. 国勢調査でいう単独世帯は、世帯人員が1人の一般世帯を指す。学生寮の学生や病院の入院者などは施設等の世帯として別に数えられるため、一人で暮らす人の総数とは一致しない。数値はいずれも令和2年(2020年)10月1日現在。
  2. 同じ671万7千という数値が、世帯として数えれば「65歳以上の世帯員がいる一般世帯」の29.6%、人として数えれば「65歳以上人口」の19.0%になる。分母が異なるためで、二つの割合は同じことを別の角度から見たものである。資料本文は後者について、65歳以上人口の約5人に1人と記している。
  3. 民法446条3項は、保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなして2項を適用すると定めている。書面性の要求は、記録が残る形であることを求めるものとして組まれている。
  4. 450条2項は、保証人が弁済をする資力を欠くに至ったときに債権者が要件を備える者との交代を請求できるとし、3項は債権者が保証人を指名した場合には1項・2項を適用しないとしている。いずれも「債務者が保証人を立てる義務を負う場合」を前提とした規定であり、個別の賃貸借契約がこれに当たるかどうかの判断は法律の判断である。
  5. 出典は令和3年度の国土交通省調査で、賃貸住宅管理業に携わる団体を対象としたもの。入居制限の理由は、入居制限を行っている団体(回答数76団体)が属性ごとに最も該当するものを一つ選ぶ形式で集計されている。回答者は賃貸人本人ではなく管理に携わる団体である点に留意を要する。
  6. 弁護士法72条は、報酬を得る目的で法律事件に関して法律事務を取り扱うことを、弁護士でない者に禁じている。当社は宅地建物取引業者として売買の媒介と売却条件の調整を行い、法律の判断を要する事項は提携する弁護士・司法書士におつなぎしている。

参考文献

一次情報:https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka/pdf/outline_01.pdf

保証人がいないと、賃貸住宅は借りられないのですか。

借りられないと決まっているわけではありません。実務では、個人の保証人に代えて家賃債務保証業者を使う形が広がっており、住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律(令和7年10月1日施行)では、要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者を国土交通大臣が認定する仕組みが設けられました。国土交通省の説明資料によれば、その認定基準には、緊急連絡先を親族などの個人に限定しないことが挙げられています。ただし、認定を受けた業者や居住支援法人が身近にあるかどうかは地域により異なります。当社が審査の可否を判定する立場にはありません。

家賃債務保証を付ければ、入居を断られなくなりますか。

そうとは限りません。国土交通省の令和3年度の調査では、入居制限を行う理由のうち最も該当するものとして、高齢者の場合は「居室内での死亡事故等に対する不安」が90.9%を占め、「家賃の支払いに対する不安」は1.3%でした。断られる理由が支払能力の見立てとは別のところにも置かれているということです。そのため制度の側は、保証だけでなく、見守りや相談を含む居住支援を行う居住支援法人を都道府県が指定する形をとっています。個別の物件で入居できるかどうかは、当社が見通しを述べられる事柄ではありません。

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