住宅ローン返済比率22.8%は、審査の基準ですか。
審査基準として公表された値ではありません。住宅金融支援機構「2025年度 フラット35利用者調査」で、借換えを除く35,553件の1か月当たり予定返済額を世帯月収で割った総返済負担率の平均です。2024年度の23.2%から0.4ポイント下がりました。返済方法変更の条件に出る返済負担率とは目的が違います(2026年9月3日確認)。
この記事の結論
Q. 住宅ローン返済比率が平均22.8%以下なら安心ですか。 A. 22.8%は2025年度のフラット35利用者35,553件の平均で、安全基準ではありません。月間予定返済額は前年度より4.7%増えています。年間返済額÷税込み世帯年収と、次回返済後に残る手取り額を別々に確かめてください。
住宅金融支援機構の「2025年度 フラット35利用者調査」によると、平均総返済負担率は22.8%です。2025年4月から2026年3月までの買取承認案件と付保承認案件のうち、借換えを除く35,553件を集計した値です。住宅ローンを返済中の全世帯を調べた数字ではありません。2026年9月3日に同機構の公表資料で確認しました。
資料上の正式な言葉は「総返済負担率」です。定義は、1か月当たり予定返済額を世帯月収で割った数値です。2025年度の平均は、2024年度の23.2%から0.4ポイント下がりました。
意外なのは、率が下がったのに、1か月当たり予定返済額は上がったことです。全国平均は2024年度の11万8,200円から2025年度の12万3,800円へ増え、伸び率は4.7%でした。同じ表の平均世帯年収は669万4,000円から715万9,000円へ6.9%増えています。返済額より年収の伸びが大きかったため、平均の率は下がりました。
東海圏の2025年度平均は、1か月当たり予定返済額が11万5,800円、総返済負担率が22.4%です。ただし、この地域平均も個別家計の合格線ではありません。全国の住宅ローン残高や延滞統計が測る範囲は、住宅ローンの残高と延滞を公表資料で見る記事で分けて説明しています。
平均総返済負担率22.8%は、家計が安全になる境目でも、返済が苦しくなる境目でもありません。2025年度にフラット35を利用した人の比率を平均した統計です。22.8%以下なら余裕がある、超えたら売却を考える、という読み方はできません。
平均値同士の割り算にも注意が要ります。平均世帯年収715万9,000円を12で割り、平均予定返済額12万3,800円を重ねると約20.8%です。公表された22.8%とは一致しません。各利用者の総返済負担率を平均した値と、年収と返済額の平均値を後から割った値は、同じ計算にならないためです。
22.8%は他人の平均であって、今月の口座残高を守ってくれる数字ではありません。ここは言い切ります。平均より低くても、手取り収入から食費、教育費、車、税、保険を払って赤字なら重い。平均より高くても、直ちに家を売る理由にはなりません。
良い点は、自分の返済額を一つの比率にして、2025年度の公表値と同じ物差しで見られることです。感覚だけで「苦しい」と抱え込まず、返済額と収入の関係を紙に出せます。
その上で注文したい点は、平均値が一人歩きしやすいことです。調査対象と定義を外すと、審査の上限や家計診断の基準のように見えてしまいます。住宅金融支援機構の返済方法変更メニューに出てくる率は、別の目的の条件です。違いは返済がきついときの返済変更メニューで確認できます。
自分の返済比率を確かめるときは、税込みの世帯年収、年間の住宅ローン返済額、毎月の手取り収入を別々に書きます。公表値と同じ形の比率と、実際に残るお金の両方を出すためです。
たとえば、税込み世帯年収600万円、毎月返済10万円、ボーナス返済なしなら、年間返済額は120万円です。120万円÷600万円×100で20%になります。これは計算例であり、20%なら返せるという判定ではありません。
ボーナス月だけ返済額が増える契約は、年間の比率が同じでも資金繰りが違います。通常月が黒字でも、増額月の口座が不足すれば引き落とせません。増額返済を毎月へ組み直す確認は、住宅ローンのボーナス払い変更手順に整理しました。
変動金利型では、適用金利が上がった日と返済額が変わる日が一致しない契約があります。返済額の見直し周期は法律の一律ルールではなく、契約の確認が必要です。仕組みは変動金利の5年ルールを確認する記事で扱っています。
住宅ローン返済比率を家計へ置き直すとき、私は平均との差より、次の返済後に口座へいくら残るかを見ます。今回使える体験ストックに実例はありません。相談事例のようには書かず、宅地建物取引士としての判断を明示します。
平均より下だから大丈夫、は危ない。平均より上だから詰んだ、も違う。見るのは、次の返済日までに入る金額と出る金額です。一言メモが空欄だったため、数字を自分の商売感覚と家計へ翻訳する原則から出した私の意見です。
私が迷うのは、どこからを「重い」と呼ぶかです。家族数、通勤に必要な車、治療費、教育費、住宅の修繕時期で、同じ22.8%でも残る額は変わります。全国平均から、その世帯の余白を断定することはできません。
それでも数字にする意味はあります。月末残高が毎月減っているなら、まだ滞納していない時点で借入先へ話せます。逆に、年に数回の大きな支出を月割りしても黒字なら、平均を超えたことだけで売却を急ぐ必要はありません。
当社は任意売却を率先して勧めず、買い取る側にも回りません。平均との比較から売却へ飛ばず、返済方法の変更、家計の組み直し、通常売却などを別々に並べます。返済後の赤字が続くかどうかが、次の確認を選ぶ材料です。
今日する確認は、次の給与入金額から次回の住宅ローン返済額と、その日までに出る生活費を引くことです。答えがマイナスなら、不足額と返済日を書き、返済中の金融機関へ連絡します。
この記事が効くのは、まだ滞納していない「返済がきつい」段階です。届いた書面や現在地が違う方は、滞納から開札までの7段階で先に確認してください。
借入先には、「返済比率が22.8%を超えた」と伝えるより、「次回返済日は9月○日で、○円不足する見込みです。返済方法を相談したい」と、日付と金額を伝えます。相談しただけで条件が変わるとは限りません。必要書類、審査、変更が反映される日も確認します。
返済方法を変えても赤字が残る場合は、売ると決める前に残る選択肢を並べます。債務整理、減免、法的な見通しは当社が判断する事柄ではありません。法律の判断が必要になった段階では、提携する弁護士・司法書士におつなぎします。ご自身で選んだ士業へ依頼することもできます。
出典
大石浩之(磐田市/不動産業)
宅地建物取引士。住宅ローン返済に行き詰まった方の順番を整え、任意売却を率先して勧めない立場で相談を受けています。詳しい立場は私たちの立場をご覧ください。
この記事のよくある質問
審査基準として公表された値ではありません。住宅金融支援機構「2025年度 フラット35利用者調査」で、借換えを除く35,553件の1か月当たり予定返済額を世帯月収で割った総返済負担率の平均です。2024年度の23.2%から0.4ポイント下がりました。返済方法変更の条件に出る返済負担率とは目的が違います(2026年9月3日確認)。
年間の住宅ローン予定返済額を税込み世帯年収で割り、100を掛けます。毎月10万円、ボーナス返済なし、税込み世帯年収600万円なら、120万円÷600万円×100で20%です。ただし、この比率だけでは生活費を払った後の余白は分かりません。手取りの入金額から次回返済額と生活費を引き、返済後に残る額も別に出してください。
平均を超えただけで売却を決める必要はありません。22.8%は2025年度のフラット35利用者の平均で、個別家計の限界ではないからです。次回返済後の残高がマイナスになるなら、返済日と不足額を整理して借入先へ返済方法を相談します。当社は任意売却を率先して勧めず、買い取る側にも回りません。変更後も赤字が残るときに、ほかの選択肢と並べます。
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富士ヶ丘サービス株式会社/宅地建物取引士 大石浩之(静岡県知事 第027186号)。 記事の内容は執筆時点の法令・公表資料にもとづきます。 個別の事案の見通しを示すものではありません。