金融庁の10,069件は、住宅ローンの申込み件数ですか。
住宅資金借入者について、2025年4月1日から2026年7月末までに金融機関が集計した貸付条件変更の申込み件数です。金融庁のPDFでは、実行8,262件、謝絶574件、審査中795件、取下げ1,275件も示されています。ただし実行などの件数には2025年3月以前の申込みの一部が含まれるため、10,069件をそのまま現在の申請結果とは読めません。
この記事の結論
Q. 住宅ローンの返済条件変更は、10,069件の実績を見れば通ると考えてよいですか。 A. そうは読めません。金融庁の2026年7月末集計は申込み10,069件、実行8,262件ですが、実行等には過去の申込みの一部も含まれます。次回返済日と不足額を出し、まず借入先に可否と反映日を尋ねます。
金融庁は2026年8月31日更新の「金融機関における貸付条件の変更等の状況について」で、住宅資金借入者の2026年7月末時点の実績を公表しています。集計期間は2025年4月1日から2026年7月末までです。対象は182金融機関、件数の単位は貸付債権ベースです。
合計は申込み10,069件、実行8,262件、謝絶574件、審査中795件、取下げ1,275件でした。実行と謝絶を分けて載せているので、返済条件変更の相談後にどんな状態が残っているかを、全体像として読めます。
意外なのは、申込み10,069件から実行8,262件を引けば、残りが1,807件になるのに、謝絶・審査中・取下げを足すと2,644件になることです。これは数字の誤りではありません。金融庁が、実行・謝絶・審査中・取下げには2025年3月以前に申込みを受け付けた件数の一部も含まれる、と注記しているためです。
この注記がある以上、10,069件と8,262件を割って「82.1%が実行された」と読むのは適切ではありません。まずは、返済条件変更の相談と審査が実際に動いている規模を示す集計だと置きます。
金融庁の表には「A/(A+B)93.5%」という欄もあります。Aは実行8,262件、Bは謝絶574件です。計算すると8,262÷(8,262+574)で93.5%になります。審査中795件と取下げ1,275件は、この分母に入っていません。
それでも、この欄には使い道があります。実行と謝絶だけを比べたときの公表値を見て、「相談する人がいない」と思い込まなくて済みます。金融庁の集計には主要行等9行、地域銀行96行、その他の銀行77行が含まれ、相談先が一種類だけではないことも分かります。
一方で、93.5%を自分の見通しに置き換えることはできません。返済期間を延ばすのか、一定期間の返済額を変えるのか、ボーナス払いを組み替えるのかで、確認する内容が変わります。返済条件変更は、金融庁の集計値ではなく、契約と借入先の審査で決まります。
住宅ローンの次回返済が足りなくなりそうな段階では、金融庁の数字を見たあとにすることは一つです。返済中の金融機関へ、返済条件変更の相談をつなぎます。今回の集計が示すのは、相談の入口が現実に使われていることです。ご自身の申込みが認められることまでは示しません。
電話前の準備は、返済予定表、次回返済日と金額、収入の変化、不足額の4項目です。必要書類を完璧に揃えようとして電話を遅らせるより、まず窓口に相談し、何を出すかを聞く順番が現実的です。書類と聞く内容の整理は、住宅ローン返済相談の準備にまとめました。
借換えも気になる場合は、現在の借入先での条件変更と同じ表に置きます。借換えは新たな融資の審査と費用、条件変更は反映日と変更後の総支払額が軸です。月額だけで比べると、期間を延ばした後の負担を見落とします。比較の項目は、住宅ローン借換えと条件変更で確認できます。
ボーナス月の不足が原因なら、毎月払いのみへの変更や内訳変更が候補になる場合があります。ただし、変更が次回の引落しに間に合うかは公表統計には書かれていません。現在の契約どおりの支払準備を止めず、反映日を借入先へ聞きます。冬の確認手順は、住宅ローンのボーナス払い変更に整理しています。
今回使える体験ストックに、返済条件変更の実例はありません。相談者の場面を作らず、宅地建物取引士としての意見を明示します。私が数字を見るときは、全国の集計をそのまま安心材料にはしません。家計の次回返済へ置き直せる数字だけを残します。
10,069件は、あなたの審査結果ではありません。だからこそ、相談を先送りする理由にもなりません。金融庁の集計は、返済条件変更という手が実際に申込みと実行へ進んでいることを示します。その事実を自分の家計へ移すには、次回返済日、足りない額、変更後に払える額の三つが要ります。
私が迷うのは、今回の公表資料だけでは、実行後にどれだけの期間返済が続いたか、家計の不足が解消したかまでは分からない点です。10,069件の件数から、条件変更の長期的な効果や個別の審査理由を推測することはできません。数字が大きいから安心、数字が小さいから無意味、とも言い切れません。
そこで、紙に三列を作ります。左に次回返済日と現行額、中央に入金予定日と不足額、右に条件変更後の返済額と反映予定日です。右側が空欄のままなら、まだ売却を決める段階ではなく、借入先へ聞く材料が足りない段階です。
返済条件変更を相談しても、希望どおりになるとは限りません。認められない場合や、変更後も家計が続かない場合は、通常の売却、任意売却、競売を受け入れる判断などを別々に並べます。当社は任意売却を率先して勧めず、買い取る側にも回りません。選択肢の違いは任意売却以外の選択肢で確認できます。
深夜にこの記事を読んでいるなら、今夜すべて決めなくて構いません。返済予定表を開き、次回返済日と金額だけを紙に書きます。明日、返済中の金融機関へ次の三つを聞いてください。
返済方法の変更を申し込んでも、審査や契約が終わる前に次回返済日は来ます。承認前の支払額を変更後と決めつけず、不足が見込まれることも借入先へ伝えてください。現在地が分からない場合は、滞納から開札までの7段階で届いた書面と照合します。
債務整理、減免、法的な見通しは、当社が判断する事柄ではありません。法律の判断が必要になった段階では、提携する弁護士・司法書士におつなぎします。今日は返済条件変更の可否と反映日を聞くところまでで十分です。
出典
大石浩之(磐田市/不動産業)
宅地建物取引士。住宅ローン返済に行き詰まった方の順番を整え、任意売却を率先して勧めない立場で相談を受けています。詳しい立場は私たちの立場をご覧ください。
一次情報:https://www.fsa.go.jp/ordinary/tariff202504/kashitsuke/202506.html
この記事のよくある質問
住宅資金借入者について、2025年4月1日から2026年7月末までに金融機関が集計した貸付条件変更の申込み件数です。金融庁のPDFでは、実行8,262件、謝絶574件、審査中795件、取下げ1,275件も示されています。ただし実行などの件数には2025年3月以前の申込みの一部が含まれるため、10,069件をそのまま現在の申請結果とは読めません。
申込み全体に対する実行割合としては扱えません。金融庁の表にある93.5%は、実行8,262件を実行と謝絶の合計8,836件で割った値です。審査中や取下げを含まず、実行などには過去の申込みの一部も混ざります。93.5%を自分の審査が通る確率と置き換えないでください。
返済予定表から次回返済日と返済額を抜き出し、収入の入金日と不足する見込み額を並べます。そのうえで返済中の金融機関へ、変更できる内容、変更後の毎月額と総支払額、次回返済へ反映できる日と必要書類を尋ねます。審査や契約の扱いは借入先により異なり、申込みだけで変更が決まるわけではありません。
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富士ヶ丘サービス株式会社/宅地建物取引士 大石浩之(静岡県知事 第027186号)。 記事の内容は執筆時点の法令・公表資料にもとづきます。 個別の事案の見通しを示すものではありません。