返済額が月3万円増えたら、借換えを選ぶ人が44.1%なのですか。
違います。住宅金融支援機構の2026年1月調査で44.1%となったのは、全額完済8.1%、一部繰上返済15.9%、三つの金利タイプへの借換え20.1%の合計です。借換えだけなら20.1%です。現在の借入先での返済条件変更は設問にないため、この数字から両者の優劣は判断できません(2026年9月3日確認)。
この記事の結論
Q. 返済額が月3万円増えるなら、借換えと現在の借入先への相談のどちらが先ですか。 A. 次回返済で不足するなら、まず現在の借入先へ条件変更を相談し、借換えも並行して試算します。借換えは審査と諸費用、条件変更は反映日と総返済額を確認し、月額だけで決めないでください。
独立行政法人住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査 住宅ローン利用者調査(2026年1月調査)」は、2026年2月20日に公表されました。調査期間は2026年1月7日から1月20日です。2025年4月から9月までに住宅ローンを借りた20歳以上70歳未満の1,237人へ、インターネットで尋ねています。
このうち、変動型928人と固定期間選択型184人の計1,112人に、金利上昇で毎月の返済額が1万円、3万円、5万円増えた場合の対応を聞いています。2026年9月3日に同機構の公表資料で確認しました。
意外なのは、3万円増で「見当がつかない、わからない」が27.2%あり、返済継続の24.2%より高いことです。借換え三種の内訳は、全期間固定7.1%、変動8.6%、固定期間選択4.4%でした。どの金利タイプに替えるかまで、回答が一方向へ集まっているわけでもありません。
調査対象にも限界があります。住宅ローンを借りてから数か月の人が対象で、借換えで契約した人、無職の人、すでに返済へ行き詰まった人の調査ではありません。44.1%は行動の予言ではなく、仮定の質問への回答です。
住宅ローンの借換えは、別の金融機関などから新たに融資を受け、現在の住宅ローンを完済する方法です。返済条件変更は、現在の借入先との契約を残し、返済期間や毎月・ボーナス月の返済額などを組み替える相談です。目的が似ていても、入口と費用の出方が違います。
借換えでは、新しい融資の審査があります。住宅金融支援機構の「【フラット35】(買取型)借換融資の商品概要」は、取扱金融機関または同機構の審査結果によって希望に添えない場合があると明記しています。融資手数料、印紙税、現在の抵当権を抹消する費用、新しい抵当権を設定する費用なども挙げています。
一方、住宅金融支援機構の返済方法変更は、返済中の金融機関が申出先です。返済期間の延長は最長15年で、毎月の返済額は減るものの、期間が延びるため総返済額は増えるとされています。審査があり、希望に添えない場合もあります。具体的な条件と手順は返済がきついときの返済方法変更メニューに整理しました。
この違いを家計の言葉に直すと、借換えは「新しい契約の入口で審査と費用を見積もる」、条件変更は「今の契約の出口を延ばしたときの総返済額を見積もる」です。どちらも毎月額だけを見て決めると、後ろに残る費用を見落とします。
借換えと条件変更を並べる良い点は、「今の返済額を受け入れるか、家を売るか」という二択から離れられることです。まだ滞納していない段階なら、現在の借入先と、新しい借入先の候補へ別々に確認できます。
金利上昇後も返済額がすぐ変わらない契約があります。返済額の見直し周期や増加幅は、法律の一律ルールではありません。契約書で確かめる項目は変動金利が上がった後の返済額で説明しています。
その上で注文したいのは、月々の減額だけを比べないことです。借換え後の毎月額が下がっても、諸費用と返済期間を含む総支払額が増えることがあります。条件変更で毎月額が下がっても、期間延長で利息負担が増えます。どちらも「月3万円が消える話」としては見ないほうがよいです。
月3万円は年36万円です。手取り月収30万円なら10%、50万円なら6%に当たります。同じ3万円でも、家計への重さは違います。返済比率の全国平均を安全基準にできない理由は、住宅ローン返済比率22.8%の見方に書きました。
月3万円増は、統計の境目であって、持ち主の家計の境目ではありません。一言メモが空欄だったため、数字を家計へ翻訳する原則から出した私の意見です。3万円という見出しだけで借換えへ走るのは早い。反対に、3万円だから耐えられると決めるのも早いです。
今回使える体験ストックに、借換えと条件変更を比べた実例はありません。相談事例のようには書かず、大石浩之(磐田市/不動産業)が宅地建物取引士としてどう順番を置くかを述べます。
私なら、最初に次回の返済日と増額の開始日を確かめます。次に、増額後の返済額を払った口座にいくら残るかを出します。次回から不足するなら、借換えの金利比較だけに時間を使わず、現在の借入先へ返済条件を相談します。同時に借換えの審査期間、諸費用、総支払額も書面で取り寄せます。
ここで私は迷います。借換えの表示金利が低ければ、先にそちらを調べたくなるからです。ただ、審査結果が出る前にも返済日は来ます。今月の不足が見えている人へ、表示金利だけで順番を決める案内はできません。
比較表には五つの欄を作ります。「次回返済額」「変更が反映される日」「手続に必要な費用」「変更後の最終返済日」「総支払額」です。借換えと条件変更の二列を置き、分からない欄は金融機関へ聞きます。返済予定表、借換え試算書、条件変更後の試算書を、同じ単位で比べるためです。
当社は任意売却を率先して勧めず、買い取る側にも回りません。借換えも条件変更も通るとは限りませんが、審査前から売却だけに絞る必要もありません。この記事が効く「返済がきつい」段階から先へ進んでいるかは、滞納から開札までの7段階で確認できます。
今日できる確認は、現在の借入先と借換え候補へ、同じ五項目を尋ねることです。次回返済額、反映日、諸費用、最終返済日、総支払額を書面でもらえるかを聞きます。口頭の月額だけでは、比較の土台がそろいません。
現在の借入先には「返済額が月3万円増える見込みです。返済条件を変えた場合の月額、反映日、総返済額を試算できますか」と伝えます。借換え候補には「現在の残高と残存期間を前提に、諸費用を含む総支払額を出せますか」と尋ねます。
二つの回答がそろうまで、売るかどうかを決めなくて構いません。ただし、次回返済で不足する見込みなら、回答待ちのまま返済日を越えないよう、現在の借入先へ不足額と日付を伝えます。条件変更で収支が戻らず、売却以外の手も含めて整理する段階になったら、選択肢を一つずつ並べます。
債務整理、減免、法的な見通しは当社が判断する事柄ではありません。その判断が必要になった段階では、提携する弁護士・司法書士におつなぎします。ご自身で選んだ士業へ依頼することもできます。
出典
大石浩之(磐田市/不動産業)
宅地建物取引士。住宅ローン返済に行き詰まった方の順番を整え、任意売却を率先して勧めない立場で相談を受けています。詳しい立場は私たちの立場をご覧ください。
この記事のよくある質問
違います。住宅金融支援機構の2026年1月調査で44.1%となったのは、全額完済8.1%、一部繰上返済15.9%、三つの金利タイプへの借換え20.1%の合計です。借換えだけなら20.1%です。現在の借入先での返済条件変更は設問にないため、この数字から両者の優劣は判断できません(2026年9月3日確認)。
次回返済額、変更が反映される日、手続に必要な費用、変更後の最終返済日、総支払額の五つを同じ表で比べます。借換えには新しい融資の審査と諸費用があります。返済条件変更は現在の借入先が窓口で、期間延長により月額が下がっても総返済額が増える場合があります。どちらも月額だけでは決められません。
現在返済中の金融機関へ、不足する見込み額と返済日を伝え、返済条件変更の試算と反映日を尋ねます。借換え候補への相談も並行できますが、審査結果が出る前にも返済日は来ます。借換えや条件変更が通るとは限りません。債務整理や減免など法律の判断が必要な場合は、提携する弁護士・司法書士におつなぎします。
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富士ヶ丘サービス株式会社/宅地建物取引士 大石浩之(静岡県知事 第027186号)。 記事の内容は執筆時点の法令・公表資料にもとづきます。 個別の事案の見通しを示すものではありません。