完済必要額は、どの書類を見れば分かりますか。
返済予定表や残高証明書で元本残高は確認できますが、売却予定日にローンを終えるための正式な金額とは限りません。借入先へ、確認日時点の残高、指定日までに変わる項目、正式額を出す手続と回答に要する時間を聞いてください。書面の名称は借入先により異なります。
この記事の結論
Q:自宅がオーバーローンか、どう調べればいい? A:借入先に確認する完済必要額と、想定売買価格から費用を引いた売却手取り見込み額を同じ基準日で比べます。査定額と元本残高だけでは決まりません。価格指数の公表延期中でも、2つの確認は進められます。
住宅ローンのオーバーローンとは、家を売って手元に残る見込み額より、ローンを終えるために要る額が上回る状態です。この記事では、前者を「売却手取り見込み額」、後者を「完済必要額」と呼びます。金融機関や不動産会社で呼び方が違っても、比べる中身はこの2つです。
式は「完済必要額 − 売却手取り見込み額」です。結果がプラスなら、その額が不足する見込みです。ただし、売買価格も費用も決済日も未確定なら、差額も見込みにとどまります。査定額は、オーバーローンの判定額ではありません。
日本銀行や金融庁の公表する住宅ローン残高は、市場全体を知る資料です。個人の完済必要額ではありません。集計値と手元の残高を分ける理由は、住宅ローンの残高と延滞を公表資料で見るでも整理しています。
完済必要額は、売却代金の受領を想定する日を置き、借入先へ確認する金額です。返済予定表や残高証明書で元本残高は確認できます。しかし、督促が始まっている場合、手元の古い書面だけで決済日の必要額まで確定したとは扱えません。
電話では「家の売却を決めた」ではなく、「売却できるか調べるため、完済に必要な金額と確認方法を知りたい」と伝えます。聞くのは、確認日時点の残高、指定した日までに変わる項目、正式な金額を出してもらう手続、回答に要する時間です。書面の名称は借入先へ尋ねてください。
ここで大切なのは、返済予定表の最終回までの支払総額を使わないことです。家の売却時にローンを終えるための額と、契約どおり将来まで払い続ける合計は、同じ目的の数字ではありません。督促状に金額があっても、その書面が何月分の支払を求めているのかを分けて読みます。
私は、借入先へ連絡する前に売却を決める順番にはしません。返済方法の変更を相談できる余地があるなら、その回答も同じ紙に残します。売るか、返済を組み替えるかを今夜決める必要はありません。まず、比べられる金額を一つ確保します。
売却手取り見込み額は、想定する売買価格から、売主側で見込む売却費用を引いた額です。不動産会社には査定価格だけでなく、「この価格で売れた場合、決済時にローンへ回せる見込みはいくらか」を費目ごとの表で出してもらいます。
表には、仲介手数料、抵当権の抹消や住所変更などで見込む登記関係の費用、契約書に関する費用、測量や残置物撤去が必要ならその見込みを分けて置きます。何が要るかは物件と取引条件で変わります。税務・登記の個別判断は、税理士や司法書士などの専門家に確認します。
査定は一社の一つの数字で終わらせず、想定価格の根拠と売却期間も聞きます。高い査定を採用すれば不足が消える、という計算にはしません。広告に出す価格、成約を見込む価格、値下げを検討する時期を分けてもらうと、差額がどこで動くか見えます。
夫婦で住宅を持つ場合も、家全体の価格と各人の債務を混ぜないことが先です。財産分与の合意だけで借入先との契約関係が動くとは限りません。名義と残債を分ける考え方は、離婚と財産分与、残債が上回るときで条文に沿って確認できます。
国土交通省は2026年8月27日、不動産価格指数の公表延期を案内しました。2026年8月31日に公表予定だった2026年5月・第1四半期分に加え、すでに延期していた2026年1〜4月分と2025年第4四半期分が対象です。月次で見れば2026年1〜5月分が未公表です。
延期の理由は、指数算出プログラムの不具合について原因を確認しており、算出作業と精査などに時間を要しているためです。新しい公表日は未定で、日程が決まった後に知らせるとしています。2026年9月5日の確認時点で、ページ上の最新更新データは2025年12月・第4四半期分でした。
良い点は、延期の事実、対象、理由が国土交通省のページ上で明示されていることです。不具合を抱えたまま数値を出さず、精査へ戻したことも確認できます。年間約30万件の不動産取引価格情報を基に、全国やブロック別などの動向を指数化する資料だからこそ、出ていない期間を出たものとして扱わずに済みます。
その上で注文したい点は、個別の住宅価格を調べたい人が「指数が出ないなら、家の値段も分からない」と受け取りやすいことです。不動産価格指数は市場の動向を見る資料であり、一軒の売買価格を査定する書類ではありません。公表の延期は、借入先への完済必要額の照会や、不動産会社への査定依頼を止める理由にはなりません。
私は、この延期を記事の入口に使うか迷いました。返済に詰まった方へ、相場が分からないという不安を増やすおそれがあるからです。それでも書いたのは、指数と個別査定を分けるほうが、待たなくてよい確認を止めずに済むからです。国の指数が未公表でも、自宅の2つの金額は調べられます。
オーバーローンかを調べる作業は、売却の申込みではありません。今夜は紙を縦に二つへ分け、左に完済必要額、右に売却手取り見込み額と書きます。分からない欄は空欄のままで構いません。空欄が、明日聞く内容になります。
明日は借入先と不動産会社へ連絡します。同じ基準日で2つが並んだら、差額がプラスかマイナスかを見ます。差が小さければ、価格や費用の動きで結論が変わるため、オーバーローンだと確定せず幅を残します。
不足見込みが出ても、任意売却に直結するわけではありません。返済方法の変更、通常の売却、親族による購入、債権者の承諾を得る任意売却、競売を受け入れる判断などを分けます。任意売却と競売の違いは、2026年市場データで考える比較記事に整理しました。
今回は使える体験ストックがないため、相談事例ではなく宅地建物取引士としての意見を明示します。私は、差額を出した日に売却の結論まで求めません。2つの金額をそろえたことで、まだ決めない自由が一日分増えます。任意売却を率先して勧めず、当社が買い取る側にも回りません。
債務整理、減免、売却後に残る債務の法的な見通しは、当社が判断する事柄ではありません。その判断が要る段階では、提携する弁護士・司法書士におつなぎします。宅地建物取引士として行うのは、売却条件と日程を整理し、2つの金額の不足を見える形にするところまでです。
出典
大石浩之(磐田市/不動産業)
宅地建物取引士。住宅ローン返済に詰まった方の順番を整え、任意売却を率先して勧めない立場で相談を受けています。詳しい立場は私たちの立場をご覧ください。
一次情報:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html
この記事のよくある質問
返済予定表や残高証明書で元本残高は確認できますが、売却予定日にローンを終えるための正式な金額とは限りません。借入先へ、確認日時点の残高、指定日までに変わる項目、正式額を出す手続と回答に要する時間を聞いてください。書面の名称は借入先により異なります。
そうとは限りません。査定額は成約価格の保証ではなく、仲介手数料や登記関係などの売却費用も引かれていません。想定売買価格から費用を引いた売却手取り見込み額と、同じ基準日の完済必要額を比べます。差が小さい場合は、価格や費用の幅で結論が変わります。
直ちに決まるものではありません。返済方法の変更、通常の売却、親族による購入、債権者の承諾を得る任意売却、競売を受け入れる判断などを分けます。当社は任意売却を率先して勧めません。債務整理や減免など法律の判断が要る段階では、提携する弁護士・司法書士におつなぎします。
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関連
富士ヶ丘サービス株式会社/宅地建物取引士 大石浩之(静岡県知事 第027186号)。 記事の内容は執筆時点の法令・公表資料にもとづきます。 個別の事案の見通しを示すものではありません。