任意売却の仲介と直接買取は、何がいちばん違いますか。
仲介では不動産会社が売主から買主探しを依頼され、直接買取では不動産会社自身が買主になります。査定額と買取価格をそのまま比べず、売主側の費用を引いた手取り見込み、契約・決済予定日、抵当権者への確認、売却後の住まいを同じ表に置きます。仲介手数料の有無だけで決めないでください。
この記事の結論
Q:任意売却は、仲介と直接買取のどちらを選べばよいですか。 A:仲介は不動産会社に買主探しを依頼し、直接買取はその会社が買主になる売買です。2025年1月からのレインズ3区分は、専任系媒介の販売状況を確かめる仕組みで、買取価格や抵当権者の判断を保証しません。手取り、期限、売却後の条件を同じ表で比べてください。
任意売却の仲介では、不動産会社が売主から買主探しを依頼されます。直接買取では、不動産会社自身が買主になります。同じ会社から説明を受けても、媒介する立場と買う立場は別です。2026年9月6日に国土交通省の資料を確認しました。
| 確認する軸 | 仲介 | 直接買取 |
|---|---|---|
| 会社の立場 | 売主と媒介契約を結び、別の買主を探す | その会社が売買契約の買主になる |
| 比べる金額 | 想定する成約価格から売主の費用を引く | 提示された買取価格から売主の費用を引く |
| 媒介報酬 | 法令上の上限内で、媒介契約書面により合意する | 同じ会社との直接売買だけなら、その会社への媒介報酬は生じない。別の媒介会社が入る場合は分けて確認する |
| レインズ3区分 | 専属専任・専任媒介では売主専用画面で確認する | 直接売買そのものを3区分で追う仕組みではない |
| 当社の実務上の確認 | 抵当権者へ価格、費用、日程を示して確認する | 抵当権者へ価格、費用、日程を示して確認する |
仲介なら高く、直接買取なら早い、と名前だけで結論は出せません。仲介には買主を探す工程があります。直接買取では、その会社が正式に示した価格と条件を売主が検討します。任意売却では、抵当権者の確認と決済準備も残ります。日数は書面の予定で比べます。
仲介手数料の上限と、実際に合意する額は同じではありません。媒介契約書面で確かめる箇所は、媒介契約と報酬の上限を条文から読む記事に整理しています。
レインズの取引状況3区分は、専属専任媒介契約と専任媒介契約で売主が販売状況を確認する仕組みです。任意売却という名前だけで適用される制度ではありません。どの媒介契約を結んだかが入口です。
国土交通省が2024年12月24日に公表した資料によると、ステータス管理機能は2016年からありました。新しいのは機能そのものではありません。宅地建物取引業者による取引状況の登録が、2025年1月1日から義務になったことです。
登録する名称は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の三つです。「書面による購入申込みあり」は売買契約の成立を意味しません。申込みの段階と、契約が成立した段階を混ぜないでください。
宅地建物取引業者は、レインズへ登録したことを証する書面を売主へ渡します。売主は、その書面にあるURL、確認用ID、パスワードを使います。売主専用画面で、登録内容と取引状況を自分で確認できます。
二次元コードの掲載は、義務化と同じ日ではありません。登録証明書の二次元コードは2025年1月4日からです。読み取った後も確認用IDとパスワードが要ります。1月1日と1月4日を一つの日付に丸めないことが、一次資料を読むうえでの注意点です。
2025年1月からの義務化の良い点は、売主が媒介会社の説明だけに頼らず、専用画面で取引状況を照合できることです。国土交通省のリーフレットは、虚偽の登録などによる「囲い込み」の防止に役立つと説明しています。
代位弁済後は、連絡相手も期限も変わります。その時期に、物件が公開中なのか、書面の購入申込みがあるのかを売主自身が見られる意味は小さくありません。画面と報告が一致すれば、次に聞く内容を絞れます。一致しなければ、確認日時と画面表示を控えて説明を求められます。
その上で、注文したい点があります。三つの表示は粗い区分です。「公開中」でも、何社へ届き、何件の内覧があり、どの価格帯で反応があったかは分かりません。「申込みあり」でも、申込価格、条件、抵当権者の判断は別です。
国土交通省の指定資料には、任意売却、直接買取、買取価格の比較は書かれていません。したがって、この資料を根拠に「仲介のほうが高い」「直接買取のほうがよい」とは言えません。レインズ3区分は販売状況を確かめる道具であり、売主の手取りを比べる表ではありません。
仲介か買取かという看板で決めない。売主の手元に残る額と、期限までに決済できる見込みへ数字を戻して比べる。私はここを言い切ります。査定額や買取価格の大きな数字だけでは、売った後の家計を判定できないからです。
代位弁済後に仲介と直接買取を比べるなら、二つの提案を同じ基準日と同じ費目で並べます。保証会社などへ連絡する段階は、滞納から開札までの7段階の「一括請求・代位弁済」で現在地を確認できます。
この節の確認手順は、国土交通省のレインズ資料からの引用ではありません。売却代金だけで完済できない場合に、当社が仲介する一般的な実務として書きます。個別の抵当権者が応じる条件や回答を予測するものでもありません。
一列目は、売主の手取り見込みです。仲介は想定する成約価格から仲介手数料などを引きます。直接買取は提示された買取価格から売主側の費用を引きます。査定額と買取価格をそのまま横に置かず、差引後の金額へそろえます。
二列目は、決済までの予定です。仲介では、売出し開始、価格を見直す日、購入申込み、契約、決済を並べます。直接買取では、現地確認、正式な価格提示、契約、決済を並べます。どちらも「早い」という形容ではなく、年・月・日で書いてもらいます。
三列目は、抵当権者へ示す条件です。誰へ、どの書類を、いつ出すのか。提示価格と売却費用をいつ確認してもらうのか。条件に応じるとの回答は、誰からどの形で得るのか。仲介会社や買取会社の予定と、抵当権者の判断を同じ欄にしません。
四列目は、売却後です。引渡し日、残置物、次の住まいに要る初期費用、売却後に残る債務を別々に置きます。決済が早くても、転居先が決まっていなければ家計の段取りは終わりません。当社は、売って終わりにはしません。
二つの金額を同じ基準日で比べる方法は、住宅ローンのオーバーローンを2つの金額で調べる記事に置きました。「完済必要額」と「売却手取り見込み額」の差を出すと、価格差が売却後へどう残るかを見やすくできます。
| 同じ紙に置く欄 | 仲介案 | 直接買取案 |
|---|---|---|
| 差引後の金額 | 想定成約価格 − 売主側の費用 | 正式な買取価格 − 売主側の費用 |
| 日付 | 売出し、見直し、契約、決済の予定 | 価格提示、契約、決済の予定 |
| 確定していないこと | 買主、成約価格、抵当権者の判断 | 正式価格、決済条件、抵当権者の判断 |
| 売却後 | 転居、残置物、残る債務 | 転居、残置物、残る債務 |
媒介を担当する会社が途中で直接買取を提案すること自体を、直ちに不正とは扱いません。ただし、立場が変わります。レインズの現在表示、届いた書面の購入申込み、自社の買取価格の根拠、二つの手取り見込みを分けて書面にしてもらいます。
当社は、買い取る側に回りません。売主側の仲介と、自社の購入判断を同じ机に置かないためです。これは直接買取を否定する話ではありません。期限と価格を比べる人が、どちらの立場で説明しているかを曖昧にしない、という当社の線引きです。
2026年9月6日今夜に行う作業は、仲介か直接買取かを決めることではありません。媒介契約書、レインズ登録証明書、買取提案書、保証会社などから届いた書面を一か所へ集め、空欄を見つけるところまでです。
2026年9月7日以降、不動産会社へ聞く内容は四つです。「現在の3区分は何か」「書面の購入申込みはあるか」「仲介案と直接買取案の差引後はいくらか」「各案の決済予定日はいつか」。抵当権者の条件は、連絡先と回答の形も確認します。
このテーマに使える体験ストックはありません。相談者の場面を作らず、ここからは宅地建物取引士としての私の意見を書きます。私は、直接買取という短い道をどこまで止めるべきか迷います。期限が短い方には、買主探しの工程がないことに価値があるからです。
だから、止めるのではなく比べます。価格差、決済日、抵当権者の確認、転居費用を同じ紙に置きます。数字と書面がそろう前に、急ぐ気持ちだけで一方へ寄せません。仲介と直接買取の二択だけで詰んだと決めるのは、まだ早い。
返済方法の変更、親族による購入、競売を受け入れる判断なども、任意売却とは別の選択肢です。売却の二つの方法しか残っていないと決める前に、任意売却以外の選択肢も同じ紙に残してください。今夜の成果は、決断ではなく比較できる欄が増えたことです。
債務整理、減免、売却後に残る債務の支払条件は、法律の判断を要します。この段階からは士業の仕事です。当社が判断を述べず、提携する弁護士・司法書士におつなぎします。ご自身で選んだ士業へ依頼することもできます。
出典
大石浩之(磐田市/不動産業)
宅地建物取引士。住宅ローン返済に詰まった方の順番を整え、任意売却を率先して勧めない立場で相談を受けています。詳しい立場は私たちの立場をご覧ください。
一次情報:https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00087.html
この記事のよくある質問
仲介では不動産会社が売主から買主探しを依頼され、直接買取では不動産会社自身が買主になります。査定額と買取価格をそのまま比べず、売主側の費用を引いた手取り見込み、契約・決済予定日、抵当権者への確認、売却後の住まいを同じ表に置きます。仲介手数料の有無だけで決めないでください。
直接売買そのものを3区分で追う仕組みではありません。3区分は、専属専任媒介契約または専任媒介契約でレインズ登録された物件の販売状況を売主が確認するものです。先に媒介契約の種類を見て、対象なら登録証明書のURL、確認用ID、パスワードから専用画面を開きます。画面の確認日時も控えてください。
名前だけでは決められません。当社が仲介する一般的な実務では、仲介案と直接買取案の差引後金額、契約・決済予定日、抵当権者へ出す書類と回答、転居費用、売却後に残る債務を並べます。債務整理、減免、残る債務の支払条件など法律の判断は、弁護士・司法書士へ確認してください。
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