返済ノート

任意売却の必要書類|機構が示す12区分

この記事の結論

Q:保証会社から通知が届きました。任意売却には何をそろえればよいですか。 A:住宅金融支援機構の2026年4月版は、仲介業者が提出する書類を12項目で示します。ただし12点すべてが一律必須ではなく、競売評価書や賃貸借契約書は該当時の書類です。まず通知の期限と連絡先を確認し、手元の資料と仲介業者が調査・提出準備する資料を分け、不足を担当窓口へ伝えてください。

機構の「12区分」は、所有者の持ち物リストではない

住宅金融支援機構の「任意売却パンフレット」令和8年4月版は、物件調査後に出す書類を示しています。提出書類は(1)から(12)まであります。ただし、原文は「12区分」という制度名を使っていません。本記事では読み分けやすいよう12区分と呼びます。

意外かもしれませんが、原文で提出する人は所有者ではなく仲介業者です。保証会社の通知を受けた持ち主の方が、12点を一人で完成させてから相談する仕組みではありません。価格査定書、実査チェックシート、取引事例、地図、写真などは、仲介業者が物件調査後に提出準備する資料です。

先に知っておきたい限定 12項目は、機構等の抵当権が設定された物件について、機構・受託金融機関・債権回収会社が確認するための一覧です。別の金融機関や保証会社でも、書式と組合せが同じとは限りません。通知に書かれた連絡先へ、使う書式と提出先を確かめてください。

返済方法の変更を相談するときの資料とも別です。まだ借入先へ返済相談をしている段階なら、住宅ローン返済相談の準備にある返済日、収入変化、不足額から先に整理します。保証会社や債権回収会社へ窓口が移ったら、通知の期限と担当先を起点にします。

12項目は、4つの束に分けると動きやすい

機構の12項目は、申請・査定、所在・状態、条件付き資料、追加資料の4束に分けると、誰が何を確認するかが見えます。4束は本記事独自の整理であり、機構の正式な分類ではありません。

仲介業者が提出する12項目を4束で確認 申請・査定(1〜4) 1 売出価格確認申請書 2 価格査定書 3 実査チェックシート 4 採用した取引事例の概要 所在・状態(5〜8) 5 周辺地図 6 住宅地図 7 方位がわかる間取図 8 遠景・外観・内部などの写真 条件付き資料(9〜11) 9 最新の固定資産評価証明書 戸建住宅の場合のみ 10 競売評価書 取得できる場合のみ 11 賃貸借契約書 契約がある場合のみ 追加(12) 機構側が必要と 判断した書類 案件ごとに確認
図1 住宅金融支援機構の12項目を、本記事で4束に整理した記事固有のインライン図版です。
範囲通知を受け取った日にすること次の確認
1〜4通知と物件の所在が分かる資料をまとめる使う査定書式と提出担当
5〜8間取図の有無と、写真撮影で伏せたい事情を記す地図の範囲と撮影内容
9〜11戸建て、競売評価書、賃貸借契約の該当を分ける今回提出する資料
12追加依頼の書類名と期限を一行ずつ控える提出先と提出方法

第1の束は、売出価格確認申請書、価格査定書、実査チェックシート、査定に使った取引事例の概要です。戸建住宅とマンションでは機構の査定書式が違います。任意の査定書を使う場合も、機構が求める全項目を含める必要があります。

第2の束は、周辺地図、住宅地図、方位がわかる間取図、写真です。写真は遠景、建物全体と外構、玄関、リビング、水回り、全居室などが対象です。撮影方向も示します。近隣へ物件処分を知られたくない方への配慮も、資料に明記されています。

第3の束は条件付きです。最新の固定資産評価証明書は戸建住宅の場合、競売評価書は取得できる場合、賃貸借契約書は対象物件に契約がある場合に出します。第4の「その他」は、機構側が必要と判断した書類です。12という数だけを見て、12点で終わるとも読まないほうが安全です。

申出書、価格確認、媒介契約の順に進む

機構の任意売却手続は、12項目の提出から突然始まりません。先に任意売却に関する申出書を出し、仲介業者が物件を調査し、12項目を提出します。機構が査定価格を確認したあと、売出価格などが通知されます。

  1. 申出:原則として所有者側で仲介業者を選び、機構所定の申出書を提出する。
  2. 調査・査定:仲介業者が物件を調べ、価格査定と12項目を提出する。
  3. 価格確認:機構側が資料を確認し、売出価格などを通知する。
  4. 媒介契約:価格通知後、専任媒介契約か専属専任媒介契約を結ぶ。
  5. 販売と調整:販売状況を報告し、購入希望者と利害関係人の条件を調整する。

価格通知より先に媒介契約を急ぐ順ではありません。媒介契約の種類と報酬上限は、媒介契約と報酬の上限で確認できます。価格確認のあとに媒介契約と販売活動が続き、購入希望者が出てから利害関係人との調整へ進みます。

売出価格の通知後、その価格を下回る購入希望者が見つかっても、抵当権の抹消に応じてもらえない場合があります。査定額、売出価格、購入申込額、住宅ローン残高は別の数字です。残高と売却見込みの差は、住宅ローンのオーバーローンを2つの金額で調べる方法で先に見ておけます。

良い点は条件が見えること。注文は役割分担の明記

2026年4月版の良い点は、書類名と条件を一緒に読めることです。戸建住宅だけ、取得できる場合だけ、賃貸借契約がある場合だけ、という違いまで確認できます。写真の範囲や近隣への配慮も具体的で、仲介業者が調査を省かないための基準になります。

その上で、持ち主の方にとって分かりにくい点もあります。12項目の提出主体は仲介業者ですが、所有者が手元から提供する物との分担は一覧だけでは見えません。「必要書類12点」とだけ紹介すれば、夜中に書類を広げている方ほど、自分の不足だと受け取りやすいところです。

私も、見出しに「12区分」と置くか迷いました。公表資料の原文は「区分」という制度名ではなく、提出書類を(1)から(12)まで並べています。検索する方の言葉は残しつつ、機構の正式名称ではないと冒頭で明かす。この線なら、分かりやすさのために事実を変えずに済むと判断しました。

私は、書類集めを「全部そろえてから相談する宿題」にしてはいけないと考えます。12個を数える前に、通知の期限、連絡先、自分の手元にある物、仲介業者が調査・提出準備する物を分ける。制度の説明より先に、この段取りを机の上で見える形にします。

必要書類を速やかに出せない場合、機構側が任意売却を断念して競売手続に着手することがあります。仲介業者の変更を促す場合もあると、資料に書かれています。

ここは不利な情報です。ただし、書類が一つ足りない瞬間に任意売却が終わる、という意味ではありません。私は、不足名と提出予定日を黙らず伝えることが先だと案内します。

通知を受け取った日は、手元の紙を3列に置く

保証会社の通知を受け取った日は、手元の紙を3列に置きます。「期限」「所有者から渡せる資料」「仲介業者が調査・提出準備する資料」の3列です。任意売却を選ぶ結論は、その日に出さなくてかまいません。

  • 期限:通知の日付、回答期限、担当部署、電話番号、事件番号や管理番号を一枚に写す。
  • 手元資料:固定資産評価証明書、競売評価書、賃貸借契約書の有無だけを確認する。
  • 業者へ確認:査定書、実査チェックシート、取引事例、地図、間取図、写真は自己流で埋めずに分ける。
  • 質問:12項目のうち今回必要な物、書式の版、原本か写しか、提出先、提出期限を聞く。

競売評価書がまだ取得できない、賃貸借契約がない、といった事情は条件の確認です。無い書類を作る話ではありません。すでに購入希望者がいる場合は別の提出順があるため、その事実も最初に伝えます。

任意売却を率先して勧めるための一覧でもありません。当社は買い取る側にも回りません。残る時間、売却見込み、次の住まいを同じ表に置きます。引越し費用は自動で認められるものではないため、任意売却の引っ越し費用と機構の控除費目も売買契約前に確認してください。

債務整理、減免、売却後に残る債務の法的な判断は、宅地建物取引業者の仕事ではありません。その話が必要な段階では、提携する弁護士・司法書士におつなぎします。ご自身で選んだ士業へ相談することもできます。書類をそろえる話と、法律の判断を混ぜないことも順番の一つです。

結論 住宅金融支援機構の2026年4月版は、仲介業者が出す書類を12項目で示します。12点を所有者が一律に用意する一覧ではありません。通知の期限と連絡先を確かめ、手元から渡せる資料と、仲介業者が調査・提出準備する資料を分けてください。不足は隠さず、今回の書式、提出先、期限を担当窓口へ確認します。

出典

  • 独立行政法人住宅金融支援機構「任意売却パンフレット」令和8年4月 公式PDF(2026年9月8日確認、転送先HTTP 200)。提出書類は印刷2〜3ページ、手続の流れは印刷2〜5ページ。
免責 本記事は住宅金融支援機構の公表資料を確認し、機構等の抵当権が設定された物件の一般的な手続を整理したものです。必要書類、書式、提出先、期限、売出価格の判断は債権者、契約、物件、手続段階で変わります。個別の提出物は通知の担当窓口へ、法律の判断は弁護士・司法書士へ確認してください。
任意売却の必要書類を案内する宅地建物取引士の大石浩之

大石浩之(磐田市/不動産業)
宅地建物取引士。住宅ローン返済に行き詰まった方の順番を整え、任意売却を率先して勧めない立場で相談を受けています。詳しい立場は私たちの立場をご覧ください。

一次情報:https://www.jhf.go.jp/files/300176772.pdf

任意売却では、機構の12項目を全部そろえる必要がありますか。

全員に12点が一律で必要なわけではありません。住宅金融支援機構の一覧では、固定資産評価証明書は戸建住宅の場合、競売評価書は取得できる場合、賃貸借契約書は対象物件に契約がある場合です。機構側が追加資料を求める枠もあるため、今回の組合せを担当窓口へ確認してください。

任意売却の必要書類は、所有者が自分で作るのですか。

12項目の原文上の提出主体は仲介業者です。売出価格確認申請書、価格査定書、実査チェックシート、取引事例、地図、間取図、写真などを、仲介業者が物件調査後に提出します。所有者は通知と手元資料を示し、誰がどの資料を準備するか先に分けてください。

書類が足りなくても、任意売却の相談を始められますか。

全部そろうまで連絡を待つ必要はありません。通知の期限、担当先、手元にある資料、不足名を伝え、使う書式と提出予定日を確認します。提出が遅れると、機構側が任意売却を断念して競売手続に着手する場合があります。黙って期限を過ぎないことが先です。法律の判断は弁護士・司法書士へ確認してください。

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富士ヶ丘サービス株式会社/宅地建物取引士 大石浩之(静岡県知事 第027186号)。 記事の内容は執筆時点の法令・公表資料にもとづきます。 個別の事案の見通しを示すものではありません。

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