返済ノート

住宅ローン控除2026|調書方式と証明書方式

この記事の結論

Q:年末残高証明書が届きません。住宅ローン控除を受けられないのでしょうか。 A:借入先が調書方式へ移り、適用申請書を出したなら、金融機関から証明書が届かないことがあります。移行年は税務署の控除証明書に残高が載らないため、返済計画表などで計算し、申告書の備考欄に調書方式対応の借入れと記載します。控除の可否とは別に、次回返済の不足額も今日確認してください。

年末残高証明書が来ないだけでは、控除漏れとは決まらない

年末残高証明書が届かないだけで、住宅ローン控除を受けられなくなったとは決まりません。借入先が「証明書方式」から「調書方式」へ移り、住宅ローン控除の適用申請書を提出していれば、金融機関が従来の年末残高証明書を送らないことがあります。

国税庁は2026年6月19日、「住宅取得資金に係る借入金等の年末残高等情報のマイナポータル連携に関するFAQ」を更新しました。問17-4を追加し、問17-7を更新しています。問17-4は、適用申請書にマイナンバーとe-Taxの利用者識別番号のどちらも書かなかった場合を扱います。問17-7は、調書方式に対応する金融機関へ借り換えた後の年末調整を扱います。

不利な情報を先に申し上げます 調書方式なら何もしなくてよい、という意味ではありません。借入先への適用申請書、e-Tax側の設定、税務署からの控除証明書、勤務先への提出は別々の手続です。移行した年は、控除証明書に年末残高金額が載らない場合もあります。勤務先ごとの提出期限も国税庁のFAQからは分かりません。

最初に確認する相手は、借入先と勤務先です。借入先には「調書方式へ移行したか」「適用申請書を受け付けたか」を聞きます。勤務先には、年末調整の締切と電子的控除証明書を受け付けるかを聞きます。控除の適用要件や税額の個別判断は、税務署か税理士に確認してください。

調書方式と証明書方式は、残高情報の通り道が違う

証明書方式と調書方式の違いは、年末残高の情報を誰から誰へ渡すかです。住宅ローン控除そのものが二種類あるわけではありません。国税庁の制度概要は、二つの経路を次のように分けています。

年末残高情報の通り道 証明書方式 金融機関 年末残高証明書 本人 勤務先・税務署 調書方式 金融機関 年末残高調書 税務署・国税当局 本人 → 勤務先 同じ残高でも、書類の発行元と経路が異なる
図1 国税庁の制度概要をもとに、二方式の情報経路を整理しました。記事内容をもとに作成した、この記事固有のインライン図版です。

証明書方式では、金融機関が納税者へ年末残高証明書を交付します。納税者は確定申告なら税務署、年末調整なら勤務先へ提出します。調書方式では、金融機関が税務署へ年末残高調書を提出します。国税当局が納税者へ年末残高情報を提供する経路です。

意外なのは、2026年に全員が一斉に調書方式へ変わったわけではないことです。2022年度の税制改正で調書方式への変更が行われましたが、金融機関には証明書方式を続けられる経過措置があります。二方式は併存しています。

国税庁の調書方式に対応した金融機関の一覧は、2026年7月時点です。ただし、公表への同意がある金融機関の一覧で、年の途中から移行する金融機関もあると注記されています。一覧だけで決めず、契約内容と借入先の案内を照合します。

移行した年と翌年以降では、手元の書類が変わる

証明書方式から調書方式へ移った年は、書類が一時的に分かりにくくなります。国税庁FAQの問17-6は、適用申請書を提出した年分の控除証明書には年末残高金額などが記載されないと説明しています。

その年の年末調整は、金融機関から交付される住宅ローン返済計画表などを基に控除額を計算します。「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」の備考欄には、「調書方式に対応する金融機関からの借入れ」と記載します。翌年以降も同じ記載が要ります。

初年度の確定申告時にe-Taxによる控除証明書の交付を希望していれば、移行の翌年分以降は毎年11月中旬頃、e-Taxのメッセージボックスへ年末残高金額などが入った控除証明書が格納されます。書面交付を選んだ方は扱いが異なります。国税庁FAQでは、住宅ローン控除の適用期間分がまとめて送付済みなら、3年目以降は返済計画表などを基に計算するとしています。

勤務先が電子的控除証明書を受け付けない場合は、e-TaxからXML形式のデータを保存します。国税庁の「QRコード付証明書等作成システム」で書面に出力し、勤務先へ提出できます。11月下旬に届いて年末調整へ間に合わなかった場合は、確定申告のほか、翌年1月31日までに勤務先へ出して再計算を受ける道もFAQに示されています。

借入先が複数あり、調書方式と証明書方式が混ざる場合もあります。税務署の控除証明書に入るのは、調書方式で提出された情報だけです。未対応の金融機関分は、その金融機関の年末残高証明書を確認し、年末調整では添付します。書類一枚の数字だけを全借入分だと思わないでください。

なお、住宅ローン控除の手続と、家を手放した年の譲渡所得の申告は別の話です。売却後の申告期限は任意売却・競売のあとの確定申告で整理しています。どちらの申告に当たるかを混ぜず、税務署か税理士へ書類を見せて確認します。

良い点は経路が見えること、注文は家計と混ぜないこと

調書方式の良い点は、金融機関が税務署へ出した残高情報を、国税当局から受け取れることです。条件が整えば、マイナポータル連携で確定申告書へ自動入力できます。2年目以降の電子交付では、控除証明書を毎年e-Taxで受け取る流れも示されています。

一方で、移行した年には空白が生じます。金融機関から従来の証明書は来ず、税務署の控除証明書にも残高が載らない場合があります。制度の経路が短くなっても、使う方の手元では返済計画表、適用申請書、e-Taxの設定、勤務先の受付方法を結び直す作業が残ります。

控除の見込み額を、次回返済の原資として先に使わない。これが、今回いちばん申し上げたいことです。控除書類が揃う時期と、住宅ローンの引落日は別です。年末調整の結果がいつ給与へ反映されるかは勤務先へ確認し、次回返済は口座残高と入金予定だけで不足額を出します。

控除の手続が終わっても、毎月の約定返済額は変わりません。返済条件の変更を考えるときは、申込み件数と実行件数の意味を住宅ローン返済条件変更の実績で分けています。申込みには審査があり、税の手続とは別に借入先へ相談します。

今回使える体験ストックに、この手続の相談場面はありません。相談者の実話にはせず、宅地建物取引士としての意見を明示します。私はこの記事で、控除額の計算まで踏み込むか迷いました。しかし、個別の税額を判断するのは私の仕事ではありません。私が案内できるのは、書類と家計を分け、確認先を並べるところまでです。

今日やるのは、税の書類と返済の数字を二列に分けること

2026年9月8日時点で年末残高証明書が届かないと気づいたら、紙を二列に分けます。左を「控除手続」、右を「次回返済」としてください。売却を決める作業から始める必要はありません。

  1. 方式を確認する。借入先の公式案内と国税庁の一覧を見て、調書方式へ移行した年、適用申請書の提出日、申請書へ記載した番号を借入先に聞きます。
  2. 控除書類を確認する。初年度の申告控え、税務署の控除証明書、e-Taxのメッセージボックス、返済計画表を並べます。電子か書面か分からない場合も、税務署へ確認できます。
  3. 勤務先へ期限を聞く。電子的控除証明書を受け付けるか、紙ならいつまでか、移行年の返済計画表をどう出すかを給与担当へ聞きます。会社ごとの締切は国税庁資料では決められていません。
  4. 返済の不足額を別に出す。次回返済日、返済額、口座残高、返済日までの入金予定を一枚にします。揃える項目は住宅ローン返済相談の準備にまとめています。

督促、一括請求、保証会社や裁判所からの書面が届いている場合は、税の書類より通知の期限を先に見ます。現在地は滞納から開札までの7段階で照合できます。住宅ローン控除の手続が残っていることと、返済の期限が止まることは同じではありません。

返済が苦しければ、まず借入先へ連絡します。当社は任意売却を率先して勧めず、買い取る側にも回りません。税の個別判断は税務署か税理士へ、債務整理や減免など法律の判断が要る段階は、提携する弁護士・司法書士におつなぎします。ご自身で選んだ士業へ依頼することもできます。

結論 年末残高証明書が届かないときは、紛失と決めず、借入先が調書方式へ移ったかを確認します。移行した年は、控除証明書に年末残高金額が載らない場合があるため、返済計画表などで計算し、申告書の備考欄へ調書方式の借入れと記載します。同時に、次回返済日と不足額は別の紙で確かめてください。

出典

  • 国税庁「住宅ローン控除の適用に係る手続(年末残高調書を用いた方式)について」 公式ページ(2026年9月8日確認、HTTP 200)。
  • 国税庁「住宅取得資金に係る借入金等の年末残高等情報のマイナポータル連携に関するFAQ」 公式PDF(2026年6月19日更新、2026年9月8日確認、HTTP 200)。
  • 国税庁「年末残高調書を用いた方式(調書方式)に対応した金融機関の一覧」 公式一覧(2026年7月時点、2026年9月8日確認、HTTP 200)。
免責 住宅ローン控除の要件、控除額、提出書類、勤務先の締切、金融機関の対応状況は、申告年、居住開始年、借換え、交付方法などで異なります。この記事は国税庁の公表資料を2026年9月8日に確認して、書類の経路と確認順を整理したものです。個別の税務判断は税務署か税理士へ、法律の判断は弁護士・司法書士へ確認してください。
住宅ローン控除の書類と返済家計の確認順を案内する宅地建物取引士の大石浩之

大石浩之(磐田市/不動産業)
宅地建物取引士。住宅ローン返済に行き詰まった方の順番を整え、任意売却を率先して勧めない立場で相談を受けています。詳しい立場は私たちの立場をご覧ください。

一次情報:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei/pdf/0024012-098.pdf

年末残高証明書が届かないと、住宅ローン控除は受けられませんか。

受けられないと決まるわけではありません。借入先が調書方式へ移り、適用申請書を提出していれば、金融機関が年末残高証明書を送らないことがあります。借入先の方式、税務署の控除証明書、返済計画表を確認してください。適用要件の個別判断は税務署か税理士へ確認します。

調書方式へ切り替えた年は、勤務先へ何を出しますか。

国税庁FAQでは、適用申請書を提出した年分の控除証明書に年末残高金額などが載らない場合、金融機関の返済計画表などを基に計算するとしています。申告書の備考欄には「調書方式に対応する金融機関からの借入れ」と記載します。勤務先の提出物と締切は給与担当へ確認してください。

勤務先が電子証明書を受け付けない、または年末調整に間に合わない場合はどうしますか。

電子的控除証明書のXMLをe-Taxから保存し、国税庁のQRコード付証明書等作成システムで書面に出力できます。控除証明書が遅れて年末調整に間に合わない場合は、確定申告のほか、翌年1月31日までに勤務先へ提出して年末調整の再計算を受ける道が国税庁FAQに示されています。

この記事で解決しないことは、お電話で。

いまどの段階にいるかは 今どこにいるか、 当社のできないことは 私たちの立場 に書いてあります。

お電話でのご相談0538-31-3308受付 9:00–17:00(土日祝を除く)

時間外も、できるかぎりお受けします。出られなかったときは、フォームかLINEにご用件を残してください。翌営業日にこちらからご連絡します。

LINEでのご相談はこちら(富士ヶ丘サービス共通の窓口です)

富士ヶ丘サービス株式会社/宅地建物取引士 大石浩之(静岡県知事 第027186号)。 記事の内容は執筆時点の法令・公表資料にもとづきます。 個別の事案の見通しを示すものではありません。

電話で相談無料相談時間外もできるかぎり出ます