親が滞納する前でも金融機関へ相談に行ってよいですか?
滞納前こそ相談に行くべきタイミングです。金融機関では失業や収入減、病気などによる返済困難に対して、返済期間の延長や元金据え置きなどの条件変更(リスケジュール)相談を受け付けています。滞納が数ヶ月続くと一括請求や競売手続きに進んでしまうため、早めの相談が有効です。
この記事の結論
Q:実家の親から「毎月の住宅ローンが払えなくなりそうだ」と打ち明けられました。子ども世代は何から確認すればいい? A:滞納前の金融機関への条件変更(リスケジュール)相談、家計収支の点検、そして任意売却を含めた住み替え検討の3つの順序で整理します。延滞を放置せず、早い段階で公的窓口や専門家に相談することが大切です。
秋分の帰省でお彼岸の墓参りや親族の集まりのために実家を訪れた際、高齢の親御さんから「実は毎月の住宅ローンの返済が厳しくなってきた」と打ち明けられるケースがあります。定年退職による収入減や年金生活への移行、あるいは病気や医療費の増加など、理由は様々ですが、子ども世代としてどのように受け止め、どのような順序で対応すべきか迷うのは当然です。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。宅地建物取引士として、磐田市・袋井市・森町を中心に住宅ローンの返済困難や任意売却、実家の住み替え相談をお受けしています。本記事では、2026年9月23日に住宅金融支援機構等の公表資料を確認した上で、親族が集まる秋分の帰省時に確認しておきたい返済相談の3つの順序を整理します。
親御さんから住宅ローンの相談を受けた際、まず最初に行うべきは「感情論で叱責せず、客観的な契約事実を把握する」ことです。親御さん自身も子どもに迷惑をかけたくないという思いから、滞納が始まる直前まで言い出せなかった場合が多く、まずは冷静に手元の書類を確認することが大切です。
具体的には、毎年金融機関から送られてくる「住宅ローン残高証明書」や「返済予定表」、通帳の引き落とし履歴を探してもらいます。確認すべきポイントは以下の通りです。
前回の記事副業・起業講座の返済トラブルと相談窓口でも触れたように、多重債務やクレジットカードのリボ払いなどが併発していないかも合わせて確認しておく必要があります。住宅ローン以外の借り入れがある場合は、家計全体の収支を一覧にすることが問題解決の出発点となります。
住宅ローンの返済が困難になった場合、最も避けたい対応は「誰にも言わずに放置して滞納すること」です。返済期日に引き落としができない状態が数ヶ月続くと、金融機関から「期限の利益の喪失」を通知され、残債の一括返済を求められる事態へと進んでしまいます。
滞納が発生する前の段階であれば、金融機関の融資窓口に相談して「返済特例(リスケジュール)」を申請できる余地があります。住宅金融支援機構の案内でも、失業や収入減少、病気などの事情がある利用者に対して、一定期間の返済額軽減や返済期間の延長など、返済方法の変更相談を受け付けています。
| 相談する項目 | 具体的な相談内容 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 返済期間の延長 | 完済時期を後ろへ延ばし、毎月の返済額を引き下げる。 | 延長できる最長年数と、完済時の年齢上限を確認する。 |
| 一定期間の元金据え置き | 1〜2年などの期間、利息のみの支払いにしてもらう。 | 据え置き期間が終了した後の毎月返済額の増加に注意する。 |
| ボーナス返済の取りやめ | ボーナス月の増額返済をなくし、毎月均等返済へ変更する。 | 退職金やボーナスが見込めない場合に有効な見直し手段。 |
金融機関にとっても、いきなり競売や回収手続きへ移行するより、条件を変更してでも継続して返済してもらえる方が望ましい場合があります。親御さんだけで銀行の窓口へ行くのが不安な場合は、子ども世代が同行して相談に立ち会うことを勧めます。
家計の収支を見直したり返済期間を延長しても、年金収入に対して住宅ローンの負担が明らかに重すぎる場合は、無理にその家に住み続けること自体が親御さんの生活を破綻させる原因になりかねません。その場合は、家を手放して賃貸住宅や高齢者施設へ住み替える選択肢を現実的に考える必要があります。
不動産を売却して住宅ローンを完済できる「アンダーローン(売却想定額>住宅ローン残高)」の状態であれば、通常の仲介による不動産売却で解決できます。売却代金でローンを全額返済し、手元に残った資金を次の住まいの費用や生活防衛資金に充てることができます。
一方、住宅の査定額よりも住宅ローン残高の方が多い「オーバーローン」の状態では、全額を返済できないため、通常は抵当権を抹消してもらえません。この場合に、金融機関(債権者)の同意を得て、競売入札よりも有利な条件で市場価格に近い金額で売却する手続きが「任意売却」です。
当社の立場については私たちの立場や、現在地の把握については今どこにいるか、そして任意売却以外の選択肢のページでも詳しく解説しています。当社は任意売却を率先して勧めることはせず、また当社自身が物件を買い取る側にも回りません。債権者との合意形成や、売却後の生活再建までを含めて、公正な立場から相談者の生活を守る順序を考えます。
秋分の帰省でお話し合いをされる際、家族全員で共有しておきたい最も大切な約束は、「親を責めず、一人で抱え込ませない」ということです。
真面目な親御さんほど、「自分が無理をして組んだローンだから」「子どもに情けない姿を見せたくない」とギリギリまで我慢を重ね、督促状が届いて初めて打ち明けるような状態になりがちです。しかし、早めに相談していただければ、選べる選択肢の幅は格段に広がります。
今日できる第一歩は、実家のローン返済予定表を一緒に確認し、金融機関の相談窓口へ電話をする日を決めることです。家族が揃う節目を、将来の安心を取り戻すための出発点にしてください。
大石浩之(磐田市/不動産業)
宅地建物取引士。住宅ローン返済で困った方の現在地と段取りを整理します。著者プロフィールと私たちの立場。
一次情報:https://www.jhf.go.jp/customer/yushi/hensai/henkou.html
この記事のよくある質問
滞納前こそ相談に行くべきタイミングです。金融機関では失業や収入減、病気などによる返済困難に対して、返済期間の延長や元金据え置きなどの条件変更(リスケジュール)相談を受け付けています。滞納が数ヶ月続くと一括請求や競売手続きに進んでしまうため、早めの相談が有効です。
任意売却で家を売却しても、売却代金で完済できなかった残債(残ったローン)は帳消しにはならず、支払い義務が残ります。ただし、債権者(金融機関や保証会社)と話し合いを行い、生活に無理のない範囲(月々5,000円〜数万円程度)での分割返済に合意できるケースが一般的です。
子どもが資金を出して肩代わりすることは可能ですが、親への「贈与」とみなされて贈与税の対象となる場合があります。また、子どもの家計にも大きな負担となるため、安易な肩代わりをする前に、金融機関への条件変更や任意売却による住み替えなど、根本的な解決策を検討することをお勧めします。
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富士ヶ丘サービス株式会社/宅地建物取引士 大石浩之(静岡県知事 第027186号)。 記事の内容は執筆時点の法令・公表資料にもとづきます。 個別の事案の見通しを示すものではありません。